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菅原神社(天神社)

(すがわら じんじゃ)

菅原神社は、大阪府堺市堺区に位置する由緒ある神社で、堺天神とも呼ばれています。もともとは「天神社」と称され、堺北組(大小路以北)の氏神社として地域に根付いています。主祭神は菅原道真で、天穂日命、野見宿祢も祀られています。

神社の歴史

長徳3年(997年)に天神社として創建され、菅原道真を祀るようになりました。明治5年には天神社から現在の「菅原神社」へと改称され、当時の常楽寺は廃寺となりました。

明治40年には宿屋町の薬祖神社が地主神社として合祀され、明治41年には神明町の神明神社、宿屋町の事代主神社、熊野町の熊野神社などが合祀されました。しかし、昭和20年の堺空襲で楼門と金毘羅宮以外の建物が焼失してしまいました。

重要文化財:楼門

楼門は延宝5年(1677年)に堺の鉄砲鍛冶、榎並屋勘左衛門の寄進により建立されました。昭和45年2月20日に大阪府の指定文化財に登録されています。

境内の見どころ

紅梅軒

紅梅軒は、慶安年間(1648年-1651年)に創建された建物で、長い歴史を持つ社殿です。

椿の井戸

この井戸は、茶人としても名高い千利休の師匠である武野紹鷗が愛用していたと伝えられています。

堺戎神社

堺戎神社は、戎之町・戎島町の町名の由来ともなった社です。堺戎神社は商売繁盛の神様として親しまれ、菅原神社の境内に合祀されています。

薬祖神社

薬祖神社は、医薬の神として少彦名命、そして古代中国の伝説上の薬祖神である神農大神を祀っています。明治40年に菅原神社に合祀され、戦後には再建されています。癌封じの神様としても知られ、多くの参拝者が訪れます。

稲荷神社

境内には稲荷神社も祀られており、参拝者が商売繁盛や家内安全を祈願する場となっています。

神社の象徴と特徴

随身門

随身門は1652年に建立され、その後、火災を経て延宝5年に再建されました。現在では大阪府の有形文化財に指定されています。門の両脇には随身像が立ち、参拝者を迎えています。

本殿・拝殿

現在の本殿と拝殿は、第二次世界大戦後に再建されたものです。本殿は「流造り」と呼ばれる建築様式で、長い庇が特徴です。拝殿には、戦火を逃れた金毘羅宮が移築されており、「金」のマークが刻まれています。

奇縁冰人石

奇縁冰人石は、縁結びの役割を果たす石柱で、江戸末期から明治中期にかけて建立された伝言板のようなものです。「月下氷人」から名付けられ、参拝者が縁結びの祈願に訪れる場所でもあります。

神輿台と天邪鬼

神輿台には天邪鬼の像が設置されており、重い台座を支えています。この天邪鬼はいたずら好きの神様として知られています。

狛犬(こまいぬ)

狛犬は、神社の守護と魔除けを目的として、拝殿の前に左右対称で配置されています。口の形が「阿吽(あうん)」を表しており、片方の狛犬は口を開け、もう一方は口を閉じています。また、足に巻かれている綱は「浮気封じ」を意味し、「他の店に心を移さない」という解釈から水商売繁盛にもご利益があるとされています。

神輿台(みこしだい)

神輿台には、重い台座を支えるために「天邪鬼(あまのじゃく)」と呼ばれる神話上の存在が描かれています。この天邪鬼は、いたずら好きな性格で、神輿の下で台座をしっかり支えています。

手水舎(てみずしゃ)

手水舎は参拝者が手と口を清めるための場所であり、参拝前に行う重要な儀式の一部です。清らかな心で神様と向き合うために、この手水舎で手水を取ることが推奨されています。

奇縁冰人石(きえんひょうじんせき)

この石柱は、江戸末期から明治中期にかけて建てられたもので、「奇縁冰人石」という名称は「月下氷人」(仲人)を意味し、縁結びの象徴とされています。この石は、当時の伝言板の役割も果たしていたとされ、現代でも縁結びを願う人々が訪れます。

堺戎神社と薬祖神社

堺戎神社

堺戎神社は「えべっさん」として親しまれる神社で、堺市の商売繁盛や豊漁を祈願する場として多くの人々に信仰されています。この神社の創建は1664年(寛文4年)に遡り、戎島町の海中から発見された石像を祀ったことが始まりです。その後、戎之町の事代主神社と合併し、1951年(昭和26年)に菅原神社の境内に遷されました。

ご祭神

堺戎神社のご祭神は事代主命(ことしろぬしのみこと)で、大国主命の子供として知られ、七福神の一人として崇められています。釣竿に鯛を抱えた姿が特徴で、招福の神として産業や商売の守護神とされています。

堺薬祖神社

堺薬祖神社は日本最古の薬祖神社として知られ、1397年(応永4年)に足利義満が献上した神像が発端とされています。医業や酒造業の神様として信仰され、また、近年は癌封じのご利益があるとされています。1907年(明治40年)に菅原神社に合祀されましたが、戦後の昭和30年に再建され、現在に至ります。

ご祭神

堺薬祖神社のご祭神は、医薬の神様である少彦名命(すくなひこなのみこと)と古代中国の伝説上の薬祖神である神農大神(しんのうおおかみ)です。少彦名命は童話「一寸法師」のモデルともされ、日本の医薬の発展に大きく貢献したと伝えられています。一方、神農大神は農耕を民に伝えたとされ、薬学の基礎を築いた人物として称えられています。

年間行事

主要な祭りと行事

菅原神社では一年を通して様々な行事が行われます。以下はその主な行事です。

歳旦祭

1月1日に新年を祝う祭りで、地域の人々が新しい年の無事を祈願します。

とんど祭

1月15日に行われるとんど祭では、正月の飾りや古いお札を焚き上げ、無病息災を祈ります。

節分祭

2月3日に行われ、邪気払いとともに福を呼び込むために、豆まきが行われます。

初午祭

2月の最初の午の日に開催され、稲荷神社にちなんだ行事として商売繁盛を祈願します。

ホタル観賞会

6月中の2日間に境内でホタル観賞会が開かれ、美しいホタルの光を楽しむことができます。

八朔祭(例大祭)

9月13日・14日には例大祭として八朔祭が開催され、ふとん太鼓の宮入が見どころです。

大祓

6月30日12月31日に行われる大祓では、半年ごとの穢れを祓い清めるための儀式が行われます。

アクセス情報

交通

菅原神社へは、阪堺線の花田口駅から徒歩5分でアクセスが可能です。駅からの道中には、堺市の風景や名所も楽しむことができ、観光としてもおすすめのエリアです。

周辺情報

菅原神社の周辺には、堺市の歴史的な神社である「開口神社」もあります。こちらもぜひ合わせて訪れて、堺市の文化や歴史に触れてみてください。

堺市の菅原道真公をお祀りする菅原神社は、地元の人々にとって大切な場所であり、伝統行事や豊富な文化財、豊かな自然に囲まれた魅力的な神社です。訪れるたびに新たな発見があり、参拝者に安らぎと喜びを提供するこの場所で、日本の歴史と文化を深く感じていただけることでしょう。

Information

名称
菅原神社(天神社)
(すがわら じんじゃ)

堺・泉南

大阪府