施設の歴史と特徴
綿布工場から交流施設へ
煉瓦館の建物は、1928年(昭和3年)に綿布工場として建設されました。明治後期には、現在の公園部分に旧工場(紺屋工場)が設立され、その後、昭和初期に川を挟んで新工場(五門工場)が増設されました。当時の工場は、敷地面積約20,000平方メートルの広大な敷地に宿舎や食堂なども併設されていました。
平成4年に工場としての役目を終えましたが、その歴史的価値が認められ、一部は町指定文化財として保存されました。平成18年には経済産業省の近代化産業遺産、平成21年には大阪ミュージアムの登録物に認定され、地域の文化発信基地や生涯学習の拠点として新たに生まれ変わりました。
建築デザインの特徴
煉瓦館は、建設当時のレンガ壁をそのまま活かし、工場の雰囲気を残しながら再生された施設です。特に「のこぎり屋根」が再現されており、かつての工場の面影を色濃く残しています。設計は東畑建築事務所が担当し、施工は奥村組が行いました。建物内部には約30メートルのギャラリーロードが設けられ、回遊動線が工夫されています。
施設案内
煉瓦館には、多目的ホールや展示スペース、体験学習施設など、多様な用途に対応した設備が整っています。
主な施設
- コットンホール:講義形式で最大120人、イス席のみで180人収容可能な多目的ホール
- 体験ホール:熊取の歴史や文化を体験・学習できる展示室
- 交流ホール:行政情報の発信、地場産品のPR、絵画などの作品展示、だんじりの常設展示
- ギャラリーロード:レンガ壁を活用した壁面ギャラリー
- 講義室:各種会議や研修に利用可能
- コミュニティ支援室:会議や打ち合わせに利用可能
- 染め工房:藍染や草木染などの体験が可能
- レストラン:地域の食文化を楽しめる飲食スペース
文化財としての価値
煉瓦館の建物は、熊取町指定有形文化財にも登録されており、以下のような貴重な建築物が含まれています。
旧汽かん室
煉瓦造(オランダ積み)の平屋建てで、切妻造の桟瓦葺き屋根が特徴です。中央部分には煙出しと採光・換気を兼ねた越屋根が設けられています。
旧事務所棟
木造平屋建てで、寄棟造・桟瓦葺きの屋根を持つ建物です。外壁は桧見板張りの大壁形式で、アーチ状の窓が特徴的なデザインとなっています。
旧受電室
工場の受電室として使用されていた建物で、オランダ積みの煉瓦造平屋建てです。この建物は煉瓦館の中で最も古い建築物のひとつです。
見どころ
ギャラリーロード
全長約40メートルのレンガ壁を活かした壁面ギャラリーです。絵画や写真などの作品展示が行われており、アートを楽しむ空間としても魅力的です。
染め工房
本格的な藍染や草木染の体験ができる工房です。伝統工芸の技術を学びながら、自分だけの作品を作ることができます。
中庭
かつて工場で使用されていたランカシャボイラとプレス機がベンチやモニュメントとして設置されており、当時の産業の面影を感じることができます。
アクセス
- 電車:JR阪和線「熊取駅」よりバスに乗車し、「五門」バス停で下車、徒歩1分
周辺の観光スポット
煉瓦館を訪れた際に立ち寄れる周辺の観光スポットもご紹介します。
- 中家住宅:江戸時代の伝統的な町家建築が見学できる文化財
- 降井家書院:歴史的な和風建築が残る重要な文化財
熊取交流センター煉瓦館は、かつての綿布工場の歴史と風情を色濃く残しながら、地域文化の発信拠点として新たに生まれ変わった施設です。歴史的価値のある建築を活かしながら、生涯学習や芸術文化活動、軽スポーツなど多彩な用途に活用されています。歴史を学びながらものづくりを体験できる魅力的なスポットとして、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。