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正木美術館

(まさき びじゅつかん)

正木美術館は、大阪府泉北郡忠岡町に位置し、1968年に開館した登録博物館です。公益財団法人正木美術館が運営し、主に日本や東洋の古美術品を展示しています。この美術館は、実業家で美術コレクターでもある正木孝之氏が、禅宗文化に魅了されて収集した水墨画などの作品を基に設立されました。

美術館の歴史と設立の背景

正木孝之氏は、若い頃から歴史や伝統文化への深い関心を持ち、工務所や映画館の経営に成功したことで財を成しました。その後、彼は収集家としての道を歩み始め、当初は一流の日本画家の作品を収集していましたが、戦後の混乱期により収集の方向性が転換されました。戦後、豪商や財閥家の美術品が経済的事情から手放されることが増えたため、孝之氏は貴重な東洋古美術品を守るべく収集を本格化させました。

正木美術館のコレクション

現在、正木美術館には、国宝3件と重要文化財13件を含む約1300点の美術品が収蔵されています。その主な収蔵品としては、小野道風筆の「三体白氏詩巻」や藤原行成筆「白氏詩巻」、また大燈国師の墨蹟などがあり、禅宗文化に関する墨蹟や水墨画、茶道具などが展示されています。

主な国宝と重要文化財

正木美術館に収蔵されている主な国宝と重要文化財は以下の通りです:

正木記念邸と登録有形文化財

美術館の西側には「正木記念邸」が建っており、2014年に国の登録有形文化財として登録されました。以下はその主要な構造物です:

正木孝之の人生と収集活動

正木孝之(1895年-1985年)は、和泉市池上町で生まれ、私立関西商工学校土木科を卒業後、鉄道会社や映画館の経営を経て、やがて美術品の収集に熱心に取り組むようになりました。彼は遠縁の正木家の養子となったのを機に収集活動を本格化し、特に禅宗文化に関わる墨蹟や水墨画、茶道具に焦点を当てました。

収集の対象と逸話

正木孝之は、特に中世の禅林文化に関連する書や絵画に強い興味を持ち、豪商や財閥家から代々伝わる貴重な美術品を蒐集しました。例えば、鴻池家から手に入れた国宝「三体白氏詩巻」については、井上正三という骨董商からの紹介で購入が実現したとされています。

収集のエピソード

昭和26年、正木孝之が百貨店で偶然骨董商の井上氏に出会い、紹介を受けて鴻池家の国宝級の作品を購入することとなりました。その際、正木氏は幾度も交渉を重ね、道風筆「三体白氏詩巻」を含む貴重な作品を手に入れることができたそうです。この出来事は正木氏が一流のコレクターとして成長する一助となりました。

交通アクセス

正木美術館へは、南海本線「忠岡駅」から徒歩約15分でアクセスできます。

まとめ

正木美術館は、禅林文化や古美術品に興味がある方には魅力的な観光スポットです。正木孝之氏が収集した貴重な美術品の数々は、文化財としての価値が高く、日本の歴史や伝統に触れたい方にとっても見逃せない場所です。美術館では、国宝や重要文化財などの作品をじっくり鑑賞でき、週末には正木記念邸も一般公開されています。大阪観光の際には、ぜひ訪れてみてください。

Information

名称
正木美術館
(まさき びじゅつかん)

堺・泉南

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