信太森葛葉稲荷神社の由緒
信太森神社の元来の姿は、聖神社の末社である「若御前ノ宮」として、中村の庄屋である森田氏が屋敷神として祀っていたとされています。1740年頃には、稲荷神を勧請して「信太森葛葉稲荷神社」となりました。また、「葛葉」という名称は、元禄時代の歌舞伎の影響を受けて名づけられたとされ、『葛の葉物語』に登場する白狐の古巣として、この地が物語の遺跡としても認識されるようになりました。
祭神
信太森神社の主祭神としては、宇迦御魂神、大己貴命、大宮姫命、素盞男命、猿田彦命、若宮葛ノ葉姫が祀られています。これらの神々が集うことで、神社全体に強いご加護があると信仰され、地域の人々や観光客に親しまれています。
境内の見どころ
本殿
本殿は1898年に再建されましたが、その後の老朽化を受けて、2008年に基礎、床、屋根などが改修されました。本殿内には、白狐石や御霊石(みたまいし)のほか、和泉式部や松尾芭蕉の歌碑もあります。
みたま石
本殿内に安置されている「みたま石」は、葛の葉が自分の正体が知られたことを悲しみ、石になったという伝説があります。これは、葛の葉が安倍保名のもとを去る際に悲しみながら石となったとされています。
楠大明神(千枝の楠)
本殿の左手には、樹齢2,000年といわれる楠の大木がそびえています。この木は、花山天皇が熊野行幸の際に「千枝の楠」と称され、清少納言も『枕草子』に「森は信太森」と記しています。このことから、和歌の題材としても知られている名木で、根元が二つに分かれていることから「夫婦楠」と呼ばれ、夫婦円満や良縁成就のご利益があるとされています。
狐の碑
境内には、御影石に「恋しくば尋ね来て見よ 和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」と彫られた狐の碑もあり、葛の葉が狐に戻った姿が彫られています。葛の葉町の地元でも親しまれ、神社横の地車庫のシャッターにもこの句が書かれています。
姿見の井戸
「姿見の井戸」は、白狐が葛の葉に身を変えた際に、自らの姿を映して確認したとされる井戸です。ここで姿を確認してから旅に出ると、無事に戻ることができるという伝承があります。
子安石
子安石は、安倍晴明を遥拝し、子宝や安産を願う石として知られています。安産祈願や子供を授かることを願う参拝者にとって、大切な存在です。
その他の境内の施設
境内には、ふくろうの灯篭や社務所、滝行場など、さまざまな施設があり、これらも参拝者にとっては重要なスポットとなっています。
文化財指定の千枝の楠
「千枝の楠」は、2003年に和泉市指定天然記念物に指定されています。この樹齢2,000年の大木は、地域のシンボルであり、また和歌や文学の題材としても古くから親しまれています。
年間の祭事
信太森葛葉稲荷神社では、以下のような祭事が執り行われ、多くの人々が参加します。
初詣
新年の初詣には、多くの参拝者が訪れ、お神酒がふるまわれます。
節分祭
2月3日には節分祭が行われ、ごま木奉納が行われます。厄除けを祈るこの祭りは、地域の人々に親しまれています。
初午大祭
3月中旬には初午大祭が開催されます。この祭りでは商売繁盛や五穀豊穣を祈ります。
秋祭り(だんじり祭り)
10月の体育の日には、秋祭りとしてだんじり祭りが行われ、宵宮、本宮、後宮の3日間にわたり賑わいます。
お土産品
参拝後には、くずもちや交通安全のお守り、ツゲ製のキツネのストラップ、葛の葉伝説に関する本などの土産物も購入できます。これらは神社の思い出として人気です。
交通アクセス
信太森葛葉稲荷神社は、JR西日本阪和線の北信太駅から南西へ約250メートルの距離にあります。駅の西口から参道が延びており、鳥居が4基建てられているので、初めて訪れる方でも迷うことなく到着できます。
信太森葛葉稲荷神社は、阿倍王子神社や葛の葉伝説、日本の狐伝説などと深く関連しています。
信太森葛葉稲荷神社は、その歴史と伝説を通して訪れる人々の心を惹きつける魅力ある神社です。さまざまなご利益を授かるために参拝し、神社の神聖な空気を感じながら、心穏やかなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。