祭神
美多彌神社では、複数の神々が祀られています。
- 主祭神: 天児屋根命
- 合祀神: 須佐之男命、大物主命、天之水分大神、市杵島比売命、誉田別命、菅原道真、伊邪那岐大神、大国主命
神社の歴史
美多彌神社の創建年代は定かではありませんが、延長5年(927年)に完成した『延喜式神名帳』にその名が記されていることから、平安時代初期にはすでに存在していたと考えられています。神社の名の由来は、『新撰姓氏録』や『和泉国神別条』にある「民直(みたみのあたい)」であり、民直氏族は「天児屋根命の後裔」とされています。
南北朝時代には、後醍醐天皇の保護を受け、広大な境内を有しており、また、楠木正成の守護神としても崇められていました。1500年代には、神宮寺として得泉寺が建立され、神官や社僧が社務に従事していたと伝えられています。また、織田信長からも加護を受け、神紋には信長ゆかりの「織田木瓜(五葉木瓜)」が用いられました。しかし、天正5年(1577年)の信長による雑賀攻めの際に戦火で焼失してしまいます。
その後、文禄元年(1592年)には楠木一族の和田道讃によって本殿が再建され、「牛頭天王社」と名を改めました。明治時代の神仏分離令により得泉寺は廃寺となり、社名も「八坂神社」に改称されました。その後、明治40年(1907年)には近隣の村社や無格社を合祀し、延喜式に記された「美多彌神社」の社名を再び用いるようになりました。
復活した伝統行事
2014年(平成26年)3月29日には、かつて行われていた流鏑馬行事が復活しました。この行事は、神社の伝統を受け継ぐものとして地域の人々に親しまれています。
シリブカガシの森
美多彌神社の境内には「シリブカガシ(尻深樫)」を中心とした森が広がっています。この森は8,250平方メートルにわたり、シリブカガシのほか、アラカシ(粗樫)、サカキ(榊)、クス(樟)など多様な照葉樹が繁茂しています。特にシリブカガシは、府内でも珍しい存在であり、この樹林は1973年(昭和48年)に大阪府の天然記念物に指定されました。また、大阪みどりの百選にも選ばれており、その貴重な自然環境が保護されています。
シリブカガシの特徴
シリブカガシはブナ科マテバシイ属の常緑中高木で、近畿地方以南から台湾や中国大陸南部にかけて自生しています。この木は秋になると堅果が熟し、その中央部が三角形に深くえぐれていることから「尻深」の名が付けられています。境内にあるシリブカガシの森には百本以上の木々が生い茂り、泉北丘陵の自然植生を再現する貴重な場所となっています。
境内の建物
- 本殿: 明治時代に再建
- 幣殿: 1972年(昭和47年)改築
- 拝殿: 1972年(昭和47年)改築
- 社務所:
- 美修館:
摂末社
境内には以下の摂末社もあります。
- 琴平社
- 白龍天王社
文化財
美多彌神社のシリブカガシの森は、大阪府指定天然記念物に指定されています。この森は貴重な照葉樹林の一部であり、保護・管理が行われています。
所在地・アクセス
住所: 大阪府堺市南区鴨谷台1丁49-1
アクセス: 泉北高速鉄道線 光明池駅より徒歩20分
美多彌神社は、静かな住宅街の中にありながらも、豊かな自然と歴史に触れられる貴重な場所です。神社の広大な境内と神聖な雰囲気の中で、訪れる人々に安らぎと神秘的な体験を提供しています。