建物の概要
旧新川家住宅は、入母屋造本瓦葺の町家建築でありながら、農家風の力強い造りも特徴としています。建物の屋根は錣葺(しころぶき)という特徴的な様式を採用しており、内部構造はL字形の平面を持っています。
建物の居室部分は6室あり、明治時代初期に増築された座敷と仏間を除けば、口の間・座敷・台所・納戸の食い違い四間取り(くいちがいよまどり)が当時の特徴を残しています。この形式は泉南から紀北地域にかけて多く見られるものです。
主な展示内容
- 町屋の台所再現:かまどや調理道具など、江戸時代の生活の様子を再現。
- 醤油屋の帳場と下店:醤油業の商いの雰囲気を伝える展示。
- さの町場の生活資料:江戸時代の衣食住や地域の史跡紹介。
- 豪商の展示:食野家や唐金家に関する資料展示。
- 日根対山の襖絵:幕末の文人絵師の作品。
施設の特徴
台形型の建物
旧新川家住宅がある佐野町場は、計画的な都市設計がなされないまま自然発展した地域です。その結果、道筋が細く複雑で「迷宮都市」と呼ばれる独特の形態となっています。土地の形状に合わせて建てられたため、建物自体も直角のコーナーがない台形型を呈しています。
しころ葺き屋根
入母屋造りの屋根は一段下げて瓦を葺く独特の形状で、佐野町場の民家や土蔵建築によく見られる様式です。
食い違いの間取り
「口の間」「中の間」「台所」「納戸」を田の字型に仕切らず、中央部で食い違いがある間取りが特徴です。この形式は泉南から紀北にかけての古民家に見られる学術的に貴重なものです。
施設情報
開館時間:午前9時~午後5時(最終入場:午後4時)
休館日:年末年始
もともとは土・日・祝日のみの開館でしたが、2020年6月から平日も開館しています。
入場料:
- 大人:200円
- 高校生:100円
- 中学生以下、65歳以上:無料
- 団体割引(20人以上):あり
交通アクセス
最寄り駅:南海本線泉佐野駅から徒歩約10分 駐車場:あり
沿革
- 天明年間(1781年~1789年):二代目新川喜内が醤油業を営むために建築。
- 明治初期:座敷と仏間を増築。
- 1993年(平成5年):泉佐野市の指定文化財に指定され、泉佐野市が譲り受ける。
- 1998年(平成10年):家屋の解体修理が完成し、「泉佐野ふるさと町屋館」として開館。
訪れる価値
旧新川家住宅は、江戸時代からの伝統建築や地域の歴史を深く知ることができる貴重な文化財です。歴史好きや町家建築に興味のある方には特におすすめのスポットです。また、地域イベントや展示会も行われており、訪れるたびに新たな発見があります。