弓削神社は、大阪府八尾市にある歴史ある神社です。この神社は、式内社(式内大社)の論社として知られ、同名の神社が市内に2つ存在します。どちらも格式高い神社でありながら、現在はそれぞれ独自の歴史と伝統を受け継いでいます。
『延喜式神名帳』(927年成立)に記載された式内社「弓削神社二座」の論社として、八尾市内に以下の2社があります。
この2社は、長瀬川を挟んで約300メートルの距離に位置しています。弓削神社の周辺地域は古代氏族・弓削氏の集住地であり、この地には弓削氏の氏寺とされる弓削寺(後の由義寺)や、称徳天皇が建立した由義宮などが存在しました。
弓削氏は、大化以前に軍事氏族の物部氏の配下にあり、弓削部を管掌した伴造氏族とされています。『新撰姓氏録』には、忌部系氏族および物部系氏族の「弓削宿禰」の記載があります。これらの歴史的背景から、弓削神社は弓削氏の氏神として信仰を集めていました。
また、八尾市内には弓削神社以外にも、矢作氏の氏神である矢作神社や物部系神社として渋川神社・跡部神社が鎮座しています。
弓削神社は、古代河内国において枚岡神社(東大阪市)や恩智神社(八尾市)に次ぐ格式を有していたとされています。しかし、後世においては衰退し、現在は東弓削と弓削町にそれぞれ神社が残るのみとなっています。
『延喜式』神名帳に記載される祭神は2座とされていますが、その具体的な内容は明らかではありません。一説には、『日本三代実録』に見える「弥加布都命神」「比古佐自布都命神」と関連付けられています。
東弓削に鎮座する弓削神社は、式内社として知られ、旧村社の社格を持ちます。主祭神には饒速日命、弥加布都命、品陀和気命など7柱が祀られています。
境内には本殿があり、歴史ある建築が今もなお保存されています。例祭は10月20日に行われ、地域の人々に親しまれています。
弓削町に鎮座する弓削神社も式内社であり、旧村社の社格を有しています。主祭神には饒速日命、可美麻治命、天照皇大神の3柱が祀られています。
この神社は、天照皇大神社の合祀が行われたことで、より幅広い信仰を集めるようになりました。例祭は10月9日に行われ、地域の伝統行事として定着しています。
弓削神社はその豊かな歴史と伝統、そして地域との深い結びつきから、現在も多くの参拝者を迎えています。古代からの歴史を感じられる場所として、八尾市の重要な文化財と言えるでしょう。