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暗峠

(くらがりとうげ)

暗峠は、奈良県生駒市西畑町と大阪府東大阪市東豊浦町との境に位置する、国道308号および大阪府道・奈良県道702号大阪枚岡奈良線(重複)の峠です。この峠は標高455メートルにあり、古くは「闇峠」とも表記されていました。

暗峠の概要

暗峠は、歴史的に暗越奈良街道の一部として知られ、生駒山地を越える難所として多くの旅人に利用されてきました。この峠は、つづら折りの少ない直線的な急勾配が続くため、特に大阪府側からの道は厳しい登り勾配が特徴的です。約2.5kmにわたる急坂が峠まで続きますが、その沿道や道端には歴史的なモニュメントや石仏、古寺などが点在しており、歴史と自然の趣を感じられる場所です。

峠の頂上と石畳の魅力

峠の頂上には、小さな集落が広がっており、現在でも営業を続ける茶店があります。この付近の路面は、江戸時代に郡山藩によって敷設された石畳であり、約50メートルほどが現存しています。この石畳は、参勤交代で使用された籠が滑らないように工夫されたものとされ、現在でもその姿を見ることができます。また、付近には大神宮灯籠や往年の道標などが残されており、歴史的な趣を感じることができます。

名称の由来と伝説

「暗がり」という名称の由来については諸説あります。一説では、樹木が鬱蒼と生い茂り、昼間でも暗かったことから「暗がり」と名付けられたとされます。また、「椋嶺峠」が転じたという説や、「鞍借り」「鞍換え」が訛ったという説もあります。さらには、上方落語「伊勢参宮神乃賑」では、険しい坂道で馬の鞍がひっくり返りそうになることから「鞍返り峠」と呼ばれたとも語られています。

歴史と文学

暗峠は江戸時代には参勤交代の道として利用されており、大和郡山藩の本陣が置かれていました。また、庶民の伊勢参りの道としても賑わい、多くの茶屋や旅籠が立ち並んでいました。さらに、1694年には俳人・松尾芭蕉がこの峠を訪れ、「菊の香に くらがり越ゆる 節句かな」という句を詠んだとされています。現在もこの句を刻んだ石碑が峠道沿いに設置されています。

「日本の道100選」としての評価

暗越奈良街道は「日本の道100選」に選定されており、その中でも暗峠の石畳は特に貴重な文化財として評価されています。石畳の道端には顕彰碑も設置されており、多くの観光客や歴史愛好家に親しまれています。

ハイキングコースとしての魅力

暗峠は、ハイキングコースの一部としても有名です。生駒山からの登山道や、国道308号を利用しないルートなど、徒歩でのアクセスも可能です。そのため、歴史散策と自然観察を兼ねたアクティビティとして、多くの人々に親しまれています。

交通アクセス

暗峠へのアクセス手段としては、奈良側からは生駒市コミュニティバス「たけまる号」が利用できます。このバスは平日のみ運行されており、「暗峠」停留所で下車することで、徒歩で峠に向かうことが可能です。また、自動車を利用する場合は、国道308号を通じてアクセスできますが、道幅が非常に狭く、急勾配やS字カーブが続くため注意が必要です。

周辺の見どころ

暗峠周辺には、棚田が広がる美しい景観や、石仏寺、弘法大師堂といった歴史的建造物が点在しています。また、峠からの眺望も素晴らしく、大阪平野や奈良盆地を一望できるスポットとしても知られています。

最後に

暗峠は、その急勾配や歴史的な背景から、かつては旅人にとっての難所でありましたが、現代では歴史散策やハイキングを楽しめる魅力的な観光地となっています。ぜひ一度、この歴史と自然が織りなす独特の風景を訪れてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
暗峠
(くらがりとうげ)

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