玉祖神社は、大阪府八尾市神立に位置する由緒ある神社です。式内社であり、旧社格は郷社です。「玉祖明神」や「高安大明神」とも呼ばれ、地域住民に親しまれています。
玉祖神社は八尾市東部、高安地区(恩智地区を除く旧高安郡13ヶ村)の氏神として崇敬されてきました。この神社は、古代より地域の守護神として信仰され、周囲の歴史や文化と深く結びついています。
主祭神は天明玉命(櫛明玉命)で、玉祖部の祖神とされています。古代より玉造りの技術を司る神として信仰されてきました。
社伝によれば、玉祖神社は710年(和銅3年)、周防国の玉祖神社から分霊を勧請して創建されました。その際、住吉津から上陸し、恩智神社に一泊した後、現在の地に鎮座したと伝えられています。この地には玉造部の人々が住んでおり、彼らの祖神を祀ったものとされています。
現在の社殿は1725年(享保10年)に再建されたものであり、八尾市指定文化財として保護されています。
本殿は八尾市指定文化財に指定されており、その歴史的価値が認められています。
参道の石段脇には、大きなクスノキがそびえています。このクスノキは1949年(昭和24年)に大阪府の天然記念物に指定されました。
かつて境内には神宮寺として「薗光寺竹之坊」が存在しましたが、明治維新後の神仏分離により廃寺となりました。
玉祖神社の北側を通る十三街道は、大阪市の玉造を起点とする交通の要所でした。この道によって玉祖と玉造が結びつき、両地名の関連性が指摘されています。
毎年7月中頃(15日、16日に近い土日)には、各地区から布団太鼓が出て祭礼が行われます。2010年(平成22年)には鎮座1300年を記念して盛大な祭が行われました。
木造制札(文治元年十二月日トアリ)は、日本最古の禁制とされる制札で、1910年(明治43年)に国の重要文化財に指定されました。
木造男女神像はかつて神体とされ、1970年(昭和45年)に大阪府指定有形文化財となっています。
玉祖神社のクスは1970年(昭和45年)に大阪府指定天然記念物となりました。
玉祖神社本殿(附 棟札)は2016年(平成28年)に八尾市指定文化財に指定されました。
平安時代の歌人在原業平が使用したとされる笛や、豊臣秀頼が寄進した石灯籠など、貴重な歴史資料も多く存在しています。
大阪府八尾市神立5丁目5−93(大字神立443番地)
近鉄信貴線服部川駅下車後、徒歩約27分