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樟徳館

(しょうとくかん)

樟徳館は、大阪府東大阪市に位置する歴史的な建造物であり、主屋を含む6棟の建物が国の登録有形文化財に指定されています。この館は、樟蔭学園(現在の大阪樟蔭女子大学の経営母体)の創設者である森平蔵氏の邸宅として、1932年(昭和7年)に建設されました。

建築の特徴と素材

樟徳館の建築に使用された素材は、日本各地の著名な産地から取り寄せられたもので、三陸、木曽、吉野、日向などから選び抜かれた原木が使われています。主屋には松材、仏間には杉や檜が用いられ、全国から集まった棟梁たちが技術を競い合って建築に携わったと言われています。また、内装は和洋折衷の意匠が取り入れられており、大正モダン文化の影響を強く受けています。

樟蔭学園への寄付と文化財登録

樟徳館は、1960年(昭和35年)に森平蔵氏の遺志により樟蔭学園に寄付されました。その後、2000年(平成12年)に登録有形文化財として正式に登録されています。

一般公開

通常は非公開の樟徳館ですが、4年に一度、夏季オリンピックの年の11月第2土曜日と日曜日の2日間に限り一般公開されます。この貴重な機会に訪れることで、歴史的建築物の美しさとその背景に触れることができます。

樟徳館の建築構成

玄関と居室

樟徳館の玄関は入母屋造の車寄せが特徴で、中央に配置されています。左手には平屋建ての応接間棟、右手には2階建ての居室棟があり、それぞれが調和したバランスで配置されています。内部は、自ら材木商としての知識を活かして選び抜いた良材を贅沢に使用しており、近代和風邸宅の魅力を感じることができます。

樟徳館鎮守社

敷地の西北方、蔵の南側には樟徳館鎮守社があります。屋敷神として設置され、宇佐神宮本殿を模した八幡造の社殿が特徴です。花崗石の基壇の上に建てられ、「八幡さん」として親しまれています。

樟徳館土蔵

敷地内には2つの土蔵が東西に配置されており、切妻造、本瓦葺の2階建てです。両蔵をつなぐ桟瓦葺屋根や南面の下屋などが設けられ、屋敷構えにふさわしい規模と設計が施されています。

樟徳館の塀

東塀

東塀は門の北端から長瀬川沿いに北へ約24メートル伸びています。真壁造りで、腰部は板張り、上部は土壁とし、桟瓦葺の小屋根を載せた構造です。周囲の植栽と一体となって、門周辺の景観を引き立てています。

南塀

南塀は門の南端から敷地の南東隅を折れ曲がり、西へ約70メートル延びています。東塀と同様の真壁造りで、木製の矢来柵が前面に設置され、趣のある雰囲気を醸し出しています。

樟徳館の歴史的背景

樟徳館の敷地はかつて「帝国キネマ長瀬撮影所」があった場所でした。しかし、1930年(昭和5年)の火災により撮影所は焼失し、その後京都の太秦へと移転しています。このような背景もあり、現在の樟徳館は歴史的な価値を持つと同時に、大正から昭和にかけての日本文化の移り変わりを物語る建築物です。

Information

名称
樟徳館
(しょうとくかん)

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