大阪府 » 東大阪

福聚山 慈眼寺(野崎観音)

(ふくじゅさん じげんじ のざき かんのん)

慈眼寺は、大阪府大東市野崎に位置する曹洞宗の寺院です。その山号は福聚山、本尊は十一面観音です。地域では「野崎観音」という通称で広く親しまれています。

概要

慈眼寺は、生駒山地北部の中腹に位置し、境内からは大阪平野の絶景を望むことができます。寺院の敷地内からは、野崎城跡を経て吊り橋を渡り、飯盛山や飯盛山城跡へと続く登山道が整備されています。そのため、休日には登山者も多く参拝に訪れます。

特に5月初頭に行われる無縁経法要は「野崎詣り(のざきまいり)」の通称で知られ、江戸時代から続く伝統行事です。この期間中、境内や周辺は参拝客で大変な賑わいを見せます。また、座禅会や写経会といった修行体験も定期的に行われており、多くの人々が訪れています。

歴史

慈眼寺の創建は、天平勝宝年間(749年~757年)に遡ります。天竺(インド)から来朝した婆羅門僧正が、この地を釈迦が仏法を説いた鹿野苑に似ていると述べ、それを受けた行基が十一面観音を刻んで安置したのが始まりと伝えられています。その後、平安時代には遊女・江口の君が寺を再興し、中興の祖とされています。

室町時代には野崎城が築かれましたが、戦乱によって衰退。特に永禄8年(1565年)には兵火によって本尊を除く全てが焼失しました。その後、元和2年(1616年)に再興され、天和2年(1682年)には「野崎詣り」が始まりました。この行事が繁盛するに従い、寺門前の賑わいも増していきました。

境内の見どころ

本堂

1950年に尾瀧一峰和尚が移築した建物で、元禄8年(1695年)のものとされています。本尊である十一面観世音菩薩をはじめ、普賢菩薩、文殊菩薩が祀られています。壁画『花蝶菩薩』には黄道十二星座が描かれており、現代的な要素も取り入れられています。

仮羅漢堂

釈迦の弟子である十六羅漢像が祀られており、地元の遊び歌にも登場します。仮羅漢堂は山崩れで失われた羅漢堂に代わり、現在仮設の形で再建されています。

江口の君堂

江口の君を祀る堂で、婦人病平癒や子授けの御利益があるとされています。

その他

境内には薬師堂、お染久松の塚、石造九重層塔(大東市指定有形文化財)など、見どころが多くあります。特に石造九重層塔は北河内地方最古とされる重要な文化財です。

文化財

慈眼寺の本尊である木造十一面観音菩薩立像は、平安時代中頃に制作されたもので、江戸時代に改変されたものです。他にも、石造九重層塔や本堂の壁画『花蝶菩薩』など、歴史的価値のある文化財が多く残されています。

交通アクセス

鉄道

JR学研都市線の野崎駅から東へ約1kmの位置にあります。

バス

近鉄バス「野崎観音前」バス停から東へ約200mの距離です。

慈眼寺を舞台とした作品

慈眼寺は数々の芸術作品の舞台にもなっています。例えば、近松門左衛門の『女殺油地獄』や、『新版歌祭文』、上方落語『野崎詣り』などが有名です。また、『野崎小唄』という歌も広く親しまれています。

慈眼寺は、歴史と文化、自然の調和が魅力の寺院です。参拝だけでなく、登山や修行体験なども楽しめるため、多くの人々に親しまれています。

Information

名称
福聚山 慈眼寺(野崎観音)
(ふくじゅさん じげんじ のざき かんのん)

東大阪

大阪府