恩智神社は、大阪府八尾市恩智中町に位置する歴史ある神社です。古くは式内社(名神大社)であり、河内国の二宮と伝えられています。その旧社格は府社で、現在も地域の人々に親しまれています。また、神使は兎と龍とされ、独特の神秘性を持つ神社です。
恩智神社の現在の祭神は次の2柱です。
延長5年(927年)成立の『延喜式』神名帳における祭神の記載は2座とされ、『日本文徳天皇実録』や『日本三代実録』に基づくと、この2柱が恩智神社の主要な神々であることが確認されています。「ミケツ」という名から、食物を司る神として穀神と考えられています。
恩智神社の創建時期は不詳ですが、社伝によれば奈良時代の天平宝字年間(757-765年)に藤原氏によって再建されたと伝えられています。その後、藤原氏の氏神である天児屋根命が分祀され、春日大社へと遷座したことから、恩智神社は「元春日」とも呼ばれるようになりました。
もともと恩智神社はお旅所である「天王の杜」に鎮座していましたが、南北朝時代初期頃に恩智城の築城に伴い、現在の地へ移転されたと伝えられています。この移転は、城山よりも社殿が低くなることを避けるためだったとされています。また、江戸時代には住吉大社との関係も深く、神事が行われていた記録があります。
境内には、主要社殿をはじめとして歴史を感じさせる建造物が点在しています。本殿のほかに拝殿や古墳があり、訪れる人々に神聖な雰囲気を提供します。
本殿は2棟から成り、それぞれが王子造の切妻造で建築されています。造営時期は宝暦6年(1756年)頃と推定されており、右殿には大御食津彦命、左殿には大御食津姫命が祀られています。本殿の背後には横穴式石室を持つ古墳があり、歴史的にも貴重な遺構です。
境内から西方約800メートルには、頓宮の「天王の杜」があります。この場所は恩智神社の旧鎮座地とされ、現在は八坂神社が鎮座しています。また、天王の杜一帯は考古学的にも価値が高く、弥生時代中期の集落遺跡として知られています。
この井戸は弘法大師と縁があり、雨が降る前には水が濁ることで天候を予知すると伝えられています。
恩智神社には摂社1社、末社12社があり、それぞれに特色ある御祭神が祀られています。
本殿前に並ぶ兎は神様の道案内を象徴しています。触れることで良縁や安全な旅を祈ることができます。
神龍を拝むことで、幸せな人生への導きや開運を祈願できます。
恩智神社では一年を通じて多くの祭事が行われます。代表的なものには次のようなものがあります。
恩智神社は文化的にも重要な価値を持っています。例えば、「恩智遺跡」は大阪府指定史跡として登録されており、縄文時代から続く歴史を物語っています。また、境内で発掘された銅鐸は東京国立博物館にも展示されています。
恩智神社では、1月15日に行われる「粥占(かゆうら)神事」や、11月26日に開催される「卯辰祭(うしんさい)」が有名です。特に卯辰祭では、供饌(熟饌)を作る「恩智神社卯辰祭供饌行事」が八尾市の無形民俗文化財に指定されています。
毎年8月1日には、恩智神社の夏祭りが行われます。この祭りでは、太鼓台や神輿が133段の石段を登り、壮大な行列が神社を彩ります。この夏祭りは地域住民のみならず、観光客にも人気の行事となっています。
恩智神社の本殿は2棟構成で、それぞれに大御食津彦大神と大御食津姫大神が祀られています。また、本殿の間には春日辺神を祀る末社・天川神社が鎮座しています。この神社は春日大社とも深い関係があるとされ、その神秘的な佇まいが訪れる人々を魅了しています。
恩智神社へのアクセスは、大阪府八尾市恩智中町に位置しており、最寄り駅から徒歩圏内です。周辺には観光名所も多く、散策を兼ねた訪問にも適しています。
恩智神社は、その歴史的背景や祭神の特色、地域との結びつきから、大阪の貴重な文化財として今も多くの人々に愛されています。一年を通じてさまざまな神事や祭りが開催され、訪れる人々に深い感動を与えています。ぜひ一度足を運んで、その魅力を体感してみてはいかがでしょうか。