御野縣主神社は、大阪府八尾市に鎮座する歴史ある神社です。式内小社として古来より崇敬され、旧社格は村社に列せられています。上之島地区の氏神であり、地域の歴史や文化に深く根ざした存在です。
御野縣主神社は、かつて河内国河内郡上之島村(現在の八尾市上之島地区)の氏神として祀られていました。この地域を支配していた豪族である美努連(みぬのむらじ)や三野縣主一族の祖神を祀る神社であり、その起源は不詳とされています。しかし、延喜式神名帳に「河内国若江郡の御野縣主神社二座」と記載があることから、平安時代以前には創建されていたと考えられています。
明治5年(1872年)には村社に列せられ、地域の中心的な神社としての役割を果たしてきました。境内西側には小高い丘があり、かつて西側を流れていた玉櫛川(旧大和川)の堤防跡とされています。この場所は八尾市の保全樹林に指定されており、貴重な歴史的景観を今に伝えています。また、境内南側には「御野縣池」があり、神社の自然環境を彩っています。
御野縣主神社の本殿では、三野縣主一族の祖神である角凝魂命(つのこりたまのみこと)と天湯川田奈命(あめのゆかわたなのみこと)が祀られています。この神社は延喜式内社として古代の格式を持ち、三野郷と呼ばれるこの地域一帯は、古代天皇家の直轄地である「三野縣」が置かれていた土地とされています。
三野縣主氏は、この地を管轄する有力な氏族であり、河内国のみならず朝廷でも重要な役割を果たしていました。中世には、この地は「玉櫛庄」と呼ばれるようになり、正和3年(1314年)には七条院領美濃勅旨田、永禄8年(1565年)には美濃勅旨本役六百文が八尾常光寺に寄進された記録が残されています。
御野縣主神社では、地域の伝統を伝える祭事が行われています。2022年にはテレビ東京の番組「池の水全部抜く大作戦」に出演し、話題となりました。毎年7月2日には夏祭りが開催され、秋には第二週の土曜日と日曜日に秋祭りが行われます。この秋祭りでは、布団太鼓の巡行が見どころの一つです。
御野縣主神社の本社から少し南、東山本町5丁目公園の脇には「式部御野縣主神社」(通称:式部之宮)があります。こちらは狭い敷地内に社殿が鎮座している小さな神社です。この神社は、かつて江戸時代中期に水利権争いで村が分裂し、式部集落が南の万願寺村に移った際に分霊を勧請して創建されました。式部之宮もまた、地域の歴史を物語る貴重な存在です。
御野縣主神社へのアクセスは以下の通りです。
御野縣主神社は、古代から続く歴史と文化を今に伝える貴重な神社です。地域の豪族や天皇家との深い関わりを持ち、自然豊かな境内は訪れる人々に安らぎを与えます。ぜひ歴史や伝統を感じながら参拝してみてはいかがでしょうか。