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生駒山

(いこまやま)

生駒山(いこまやま・いこまさん)は、奈良県生駒市と大阪府東大阪市との県境に位置する標高642mの山で、生駒山地の主峰として知られています。その歴史は古く、日本書紀における神武東征の一節に登場し、神日本磐余彦尊と長髄彦が山麓で激戦を繰り広げた場として記録されています。山頂には一等三角点が設置されており、奈良県側に位置しています。

山上には「生駒山上遊園地」があり、多くの観光客に親しまれています。また、山上および中腹には、大阪府と奈良県にあるテレビ局の送信所がそれぞれ設置され、京阪神エリアと奈良県の広域に電波を送っています。さらに、かつては企業の保養所や別荘地としても利用され、多くの建物が設けられていました。

伝説と宗教施設

生駒山には、役行者による鬼退治の伝説があり、山腹には修行場や祠、大小さまざまな宗教施設が点在しています。その中心となるのが「宝山寺」で、現世信仰の地として多くの人々の信仰を集めています。なお、宗教法人として届け出ていない施設も数多く存在し、その正確な数は把握されていません。

神社については、奈良県側の山麓に「往馬坐伊古麻都比古神社」(往馬大社)が、大阪府側の山麓に「石切劔箭神社」(通称:いしきりさん)や「枚岡神社」があります。これらの神社は地域の歴史や文化と深く結びついています。

京都帝国大学付属生駒山天文台

1941年(昭和16年)から1972年(昭和47年)にかけて、生駒山の山頂付近には京都帝国大学付属生駒山天文台が設置されていました。この天文台では主に太陽観測が行われており、天文学研究の拠点として重要な役割を果たしていました。

生駒山の地形と気候

地形

生駒山は、大阪府側を縦走する逆断層「生駒断層」の隆起により形成された典型的な傾動地塊です。このため、大阪側は急斜面、奈良側は比較的緩やかな地形となっています。また、山中にはいくつかの水源があり、大阪と奈良の両側に流れ出ています。

気候

生駒山は内陸性気候に属し、冬季には「生駒おろし」と呼ばれる強い風が吹き、大阪側の麓や奈良盆地に寒冷な影響を及ぼします。冬季の平均気温は山頂付近で0.8℃、奈良北西部で1.5℃程度となり、寒さが厳しい地域です。ただし、山頂付近での冠雪は年に数回程度で、1~5cmほどの雪が見られる程度です。

生駒山の植生

生駒山の植生は、全体としてシイやカシ類の常緑広葉樹林が優勢で、ブナなどの落葉広葉樹林はほとんど見られません。山中にはスダジイ、ナラ、クヌギ、コナラ、カエデ、アカマツ、ヒノキなどが分布しています。一部では竹の侵入が見られ、竹害が懸念される地域もあります。また、ナラ枯れの発生が確認されており、調査が進められています。

生駒山の登山

生駒山へのアクセスは、奈良県生駒市の近鉄奈良線「生駒駅」から生駒鋼索線(ケーブルカー)を利用する方法が一般的です。また、車でのアクセスには「信貴生駒スカイライン」が利用可能です。

登山道は複数あり、近鉄奈良線「額田駅」「石切駅」「枚岡駅」「生駒駅」、近鉄けいはんな線「新石切駅」からのコースが整備されています。これらのルートは初心者から中級者まで楽しむことができるため、多くの登山客に親しまれています。

観光地としての魅力

生駒山は、自然豊かな風景と歴史的な背景を兼ね備えた観光地として人気があります。山頂からは大阪平野や奈良盆地の美しい景色を一望でき、四季折々の風景を楽しむことができます。特に秋には紅葉が美しく、多くの観光客が訪れます。

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名称
生駒山
(いこまやま)

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