高井田横穴墓群(高井田横穴群)は、大阪府柏原市にある横穴墓群で、国の史跡に指定されています(指定名称は「高井田横穴」)。
この横穴墓群は200基以上の横穴墓を有し、古墳時代の線刻画を伴う点で広く知られています。また、現在は「史跡 高井田横穴公園」として整備され、貴重な歴史資料として保存されています。
高井田横穴墓群は生駒山地の最南端に位置し、柏原市高井田付近の丘陵地帯にあります。凝灰岩層の崖を掘削し、横穴式石室に似た墓室を構築したもので、規模としても全国有数の横穴墓群です。
大正6年(1917年)の発見以来、線刻画の存在が報告されており、人物、船、鳥、馬、魚、樹木、太陽などが描かれています。これらの図像は6世紀前半から7世紀にかけて彫られたもので、当時の生活や宗教観を知る貴重な手がかりとなっています。
横穴墓群は丘陵地形に沿って掘削されており、一見すると無秩序に見えますが、詳細に調査すると2~4基の小群を形成しています。この構造は古代の氏族構成や世代ごとの墓室掘削を反映していると考えられています。
また、これらの墓群は近隣の平尾山古墳群と類似した構造を持つため、同時期の文化的背景を共有している可能性が高いとされています。
高井田横穴墓群は1922年(大正11年)3月8日に国の史跡に指定され、1990年(平成2年)には史跡指定範囲が追加されました。これにより、地域の歴史遺産としてさらなる保護が図られています。
横穴墓に描かれた線刻画は、古墳時代の風俗や信仰を映し出す重要な文化財です。特に船体や衣装の描写からは、当時の技術や生活様式が具体的に読み取れます。
これらの壁画は柏原市立歴史資料館に展示されており、一般の見学者がその価値を直接感じることができます。
大阪府柏原市高井田
鉄道: 近鉄大阪線「安堂駅」から徒歩約15分。
車: 柏原市内の主要道路を経由して現地駐車場までアクセス可能。
高井田横穴墓群の周辺には、古代の歴史を感じられる「玉手山古墳群」や、河内地方の自然景観が楽しめるスポットが点在しています。
高井田横穴墓群は、古墳時代の貴重な遺跡であり、地域の歴史や文化を学ぶ絶好の機会を提供しています。公園として整備されているため、歴史ファンだけでなく家族連れでも楽しむことができます。ぜひ訪れてその魅力を体感してください。