素盞嗚尊神社は、大阪府吹田市江坂町に鎮座する神社で、通称「江坂神社」として親しまれています。この神社は地域の人々にとって重要な信仰の場であり、歴史的・文化的な価値も高い神社です。
素盞嗚尊神社では、主祭神として素盞嗚尊(すさのをのみこと)を祀っています。また、相殿には天照大御神(あまてらすおおみかみ)と誉田別尊(ほんだわけのみこと)も祀られています。
素盞嗚尊神社は、もともと榎坂村広芝の神祠と小曽根村寺内の神祠を併合して創建されました。かつては「牛頭天王社」や「感神院」とも呼ばれていました。1184年(元暦元年)に創立され、京都の八坂神社(感神院)から分霊を迎えたと伝えられています。
1442年(嘉吉2年)に現在の地に遷座され、1703年(元禄16年)には社殿が再建されました。明治時代になると、神仏分離令により「感神宮」や「素盞嗚尊神社」という名称が正式に使用されるようになり、1872年(明治5年)には村社に列格されました。1909年(明治42年)には神饌幣帛料供進社に指定されました。1969年(昭和44年)には社殿が改築されています。
境内には、7世紀初頭に作られた竜山石製の石棺の蓋が展示されています。この石棺の蓋は明治時代の初期に出土し、現在では石碑のように立てられています。
境内には、宇迦之御魂神を祀る岩本稲荷社もあり、稲荷信仰が根付いていることが伺えます。
素盞嗚尊神社の本殿は、吹田市の「指定有形文化財」に指定されています。特徴的な建築様式として、一間社流造(いっけんしゃながれづくり)という構造を採用しており、正面には千鳥破風(ちどりはふ)が設けられています。この千鳥破風は、吹田市内の神社では珍しいもので、17世紀後半頃の建築と推定されています。
本殿の建築様式は、正面が一間の流造で、背面には三間構造が用いられています。これにより、独自の美しいデザインが際立ちます。また、屋根にはかつて檜皮葺が使用されていましたが、1927年(明治27年)に合板葺へと変更されています。これは地域の文化遺産として、現代においても大切に保全されています。
千木(ちぎ):屋根の両端に取り付けられた木製の装飾物。古代の家屋の建築様式の名残です。
鰹木(かつおぎ):屋根の棟部分に取り付けられた円柱状の装飾で、鰹節に形が似ているためこの名があります。
素盞嗚尊神社では年間を通してさまざまな行事が行われ、地域の人々に親しまれています。以下は1月から3月にかけて行われる主要な行事です。
開催日:元旦から1月15日
元旦の午前零時から初太鼓が鳴らされ、参拝が始まります。元旦から三が日には、お神酒や甘酒が振る舞われ、家内安全や厄除けの祈祷も行われます。混雑が予想されるため、車での参拝は避けるようお願いしています。
開催日:元旦午前10時半
新年を祝うため、皇室や国の平和、地域の発展を祈る祭典です。氏子総代や奉賛会代表が参列し、厳かな雰囲気の中で行われます。
開催日:1月4日から15日
地域の企業や団体が新春に参拝し、1年の安全と繁栄を祈願します。昇殿しての祈祷が行われ、各団体ごとに個別に祈願を受けることができます。
開催日:1月15日
正月に各家庭で祀られた歳神様を送り出す行事です。境内に設置された火床で正月飾りや古いお札などを焼納します。厄除け湯立神楽や厄除けぜんざいの振る舞いもあり、地域の人々が多数参加します。
開催日:節分当日(2月3日)
厄除けのため、1年の間に神社に納められた護摩木を一本ずつ焼納する神事です。また、福豆の授与も行われ、参拝者が自由に持ち帰ることができます。節分祭では合同厄除け祈願も行われ、参拝者全員でのご祈祷が行われます。
開催日:旧初午の日
稲荷社の祭典として、商売繁盛や家内安全を祈願する行事です。この行事は、岩本講の組織によって受け継がれており、講員や地域住民が参列する習わしとなっています。一般の方も自由に参拝が可能です。
素盞嗚尊神社へは、北大阪急行電鉄南北線の「緑地公園駅」から徒歩10分ほどでアクセスできます。公共交通機関を利用して、ぜひ訪れてみてください。
素盞嗚尊神社は、地域の歴史と文化を受け継ぐ貴重な神社です。美しい本殿や多くの行事が行われるこの神社は、地域住民だけでなく観光客にも親しまれています。ぜひ、四季折々の行事に合わせて訪れ、神社の持つ豊かな歴史と伝統を肌で感じてみてください。