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久安寺

(きゅうあんじ)

久安寺は、大阪府池田市伏尾町に位置する高野山真言宗の寺院です。山号は「大澤山(たいたくざん)」、本尊は千手観音で、紫陽花や紅葉の季節になると多くの観光客が訪れることで知られています。

久安寺の歴史

久安寺は、寺伝によれば、神亀2年(725年)に聖武天皇の勅願を受け、行基によって開かれたとされています。その後、天長年間(824年 - 834年)に空海(弘法大師)が真言密教の道場として中興した「安養院」が前身であり、この寺が久安寺の基礎を築いたと伝えられています。

安養院の焼失と再建

保延6年(1140年)に安養院は一度焼失しましたが、薬師如来像や阿弥陀菩薩像は無事に残りました。そして、安元年(1145年)に近衛天皇の勅願により祈願所として再建され、賢実上人が本堂を含む伽藍を増築したと伝えられています。これ以降、寺は「久安寺」と称されるようになり、最盛期には49もの子院を有する大規模な寺院として栄えました。

豊臣秀吉と久安寺

安土桃山時代には、豊臣秀吉が久安寺を訪れ、月見茶会を開いたことがあるとされています。また、江戸時代中期には歌人・平間長雅がこの地に移り住み、観音信仰の聖地として多くの人々に広く知られるようになりました。

久安寺の見どころ

本堂

本堂には、本尊である千手観音像が祀られています。この像は、後一条天皇の勅願により仏師・定朝によって作られたと伝えられており、秘仏であり普段は一般公開されていません。また、本堂は摂津国三十三所霊場の第19番札所となっています。

三十三所堂

三十三所堂では、西国三十三所観音霊場の各札所の本尊を模した33体の観音像が祀られています。この堂の須弥壇は33メートルにも及び、壮大な光景を楽しむことができます。

阿弥陀堂

阿弥陀堂は、文化財保存のために高床式の宝物殿として建てられています。ここには阿弥陀如来坐像(重要文化財)や、池田市指定有形文化財の薬師如来立像、紙本著色涅槃図など貴重な仏像や絵画が安置されています。特定日のみ開扉され、内部を拝観することができます。

御影堂(遍照殿)

御影堂は、弘法大師が滞在した際の草庵の跡地に建てられており、弘法大師像や聖武天皇などの位牌が祀られています。この建物は明治末期に現在の霊園から移築されたもので、摂津国八十八箇所第67番札所にもなっています。

鐘堂

鐘堂にある梵鐘は「開運の鐘」と呼ばれており、大晦日の除夜の鐘としても多くの参拝者が訪れます。除夜の鐘は23時45分から26時まで撞くことができ、希望者は参加可能です。

薬師堂(瑠璃光殿)

池田市最古の仏像である阿閦薬師如来立像(池田市指定有形文化財)が祀られている薬師堂は、西国薬師霊場第18番札所としても知られています。

その他の見どころ

久安寺の庭園「虚空園」

久安寺には「虚空園」と呼ばれる庭園があり、バン字池を中心にした池泉回遊式庭園として作庭されています。この庭園は荒木芳邦によって設計され、美しい景観が訪れる人々を魅了します。

文化財

久安寺には数々の貴重な文化財があります。特に楼門は室町中期に建てられたもので、国の重要文化財に指定されています。また、久安寺の前身である安養寺にあった木造阿弥陀如来坐像も平安時代後期の作で、重要な歴史的価値を持っています。池田市指定の有形文化財としては、平安時代に作られた木造薬師如来立像、木造増長天立像、江戸時代の紙本著色涅槃図などがあり、これらも貴重な遺産として保護されています。

霊場巡り

久安寺は、複数の霊場巡りの札所としても重要な役割を果たしています。摂津国八十八箇所の第67番札所や摂津国三十三箇所の第19番札所など、信仰の聖地として多くの参拝者が訪れます。また、西国薬師四十九霊場の第18番札所としても知られ、関西花の寺二十五霊場や西国三十三所巡りにおいても重要な拠点です。

弥勒山めぐり

久安寺の弥勒山には、四国八十八箇所の各札所から取り寄せた砂が配置されたお砂踏みの巡礼コース「弥勒山めぐり」があります。このコースは約1キロメートルの長さがあり、山頂には修業中の弘法大師像が祀られています。信仰の心を持って参拝することで、四国八十八箇所を巡礼するのと同様のご利益があるとされています。

拝観と交通アクセス

久安寺の拝観時間は午前9時から午後4時までです。拝観料は300円で、御朱印は受付にて拝受することができます。阿弥陀堂(宝物館)は8月を除く毎月15日の「阿弥陀縁日」に14時から15時まで開扉され、また、11月3日の文化の日や11月第3日曜日の「もみじまつり」でも開扉されることがあります。詳細な情報や開扉の時間は、久安寺の公式ホームページまたは公式Twitterにてご確認ください。

アクセス

久安寺へは阪急宝塚本線の池田駅から阪急バスを利用し、「久安寺」バス停で下車すると便利です。歴史と自然が調

和した久安寺は、歴史と自然が調和した美しい寺院で、四季折々の自然の彩りを楽しむことができます。

季節ごとの見どころ

春:桜と新緑

春になると久安寺の境内は桜で彩られ、特に桜が満開になる4月上旬には多くの人が訪れます。新緑の中で鮮やかに咲く桜の美しさが、一層心を和ませてくれます。

夏:紫陽花の季節

久安寺は紫陽花の名所としても知られており、6月から7月にかけての梅雨時期には、青や紫、ピンクなど色とりどりの紫陽花が咲き誇ります。寺内に点在する紫陽花が、しっとりとした雨の雰囲気の中で美しく映える様子は、訪れる人々の心を癒します。

秋:紅葉と「もみじまつり」

秋になると、久安寺の境内は赤や黄色に色づく紅葉で鮮やかに染まります。11月中旬から下旬にかけてが見頃で、「もみじまつり」も開催され、特別拝観やコンサートなどが行われます。この時期には多くの観光客が訪れ、紅葉の美しさに心奪われるでしょう。

冬:静寂の寺院

冬の久安寺は、訪れる人も少なく、静寂に包まれた寺院の美しさを堪能できます。雪が降った日には、白い雪と寺院のコントラストが幻想的な雰囲気を醸し出します。冬の冷たい空気の中で静かに佇む久安寺は、また違った魅力を見せてくれます。

周辺観光スポット

久安寺の周辺には、観光スポットも多くあります。池田市内には五月山公園や五月山動物園があり、子供連れの家族も楽しめるエリアです。また、池田市は「インスタントラーメン発祥の地」としても知られ、カップヌードルミュージアムも人気の観光スポットです。ここでは、オリジナルのカップラーメン作り体験などもできますので、久安寺を訪れた際には合わせて観光を楽しむのも良いでしょう。

まとめ

久安寺は、歴史と自然が調和した美しい寺院であり、四季折々の景観が楽しめる魅力的なスポットです。千年を超える歴史を持つ寺院として、数々の文化財や自然豊かな庭園が訪れる人々を魅了します。また、四季のイベントや霊場巡りの札所としても多くの信仰を集め、古くから地元の人々に愛されています。ぜひ、四季折々の久安寺を訪れ、その魅力を肌で感じてみてください。

Information

名称
久安寺
(きゅうあんじ)

箕面・豊中・高槻

大阪府