大阪府豊中市服部元町に位置する服部天神宮は、関西で「足の神様」として信仰されている神社です。旧社格は村社で、多くの参拝者が足病平癒や健康を祈願に訪れる場所として有名です。また、菅原道真公との関わりから学業の神様としても崇敬されています。
服部天神宮の主祭神は少彦名命と菅原道真公です。少彦名命は医薬の神として知られ、特に足の病気にご利益があるとされています。菅原道真公は学問の神として全国に知られており、両神の加護を求めて多くの方が参拝に訪れます。
服部天神宮の創建時期ははっきりしていませんが、允恭天皇の時代(412年~453年)に秦氏が当地に外来神である少彦名命を祀ったことが始まりとされています。この少彦名命を祀る祠は「天神祠」と呼ばれ、以降も大切に守られてきました。
延喜元年(901年)、菅原道真が大宰権帥として左遷された際、当地で脚気に悩まされました。道真は里人に勧められ、天神祠で平癒を祈念したところ病が治り無事に任地へ赴いたという伝説が残されています。この故事にちなみ、菅原道真を合祀し、「足の神様」として崇敬されるようになりました。
菅原道真公が合祀されて以降、天神祠は「服部天神宮」として知られるようになり、地元の人々からも篤く信仰されました。江戸時代には能勢街道の宿場町としても賑わい、門前市が形成されました。
服部天神宮の本殿は文政10年(1827年)に再建されたもので、神聖な雰囲気が漂っています。また、拝殿も立派な造りで、多くの参拝者が訪れます。
草履堂は足病平癒を祈る場であり、鉄や木の草履、靴、杖、千羽鶴などが奉納されています。この「わらじ堂」の名前は、かつて足の病に悩む人が手作りの草履を奉納したことに由来しています。
境内には「足踏み石」の祈願台座があり、ここに座って「足病平癒」や「健脚」を祈願することができます。足にまつわるご利益を求める多くの方がこの台座を訪れています。
境内にはいくつかの摂末社もあります。豊中えびす社や初酉稲荷神社などがあり、それぞれに祭神が祀られています。特に豊中えびす社は商売繁盛を祈願するため、多くの参拝者が訪れます。
服部天神宮には豊中市指定の有形民俗文化財である算額が3面残されています。これは江戸時代の天保14年(1843年)や明治初期に奉納されたもので、算額は当時の知識や信仰を垣間見ることができる貴重な文化財です。
1990年には「豊中三大文化人の碑」が建立され、地域にゆかりのある文化人の偉業を讃えています。その三人とは、書家の西田王堂、画家の矢野橋村、そして歌人の安田青風で、いずれも豊中市の文化振興に貢献した人物です。
1月9日から11日に行われる豊中えびす祭は、豊中市を代表する祭事の一つです。境内社の豊中えびす社で行われ、商売繁盛や健康を祈願するために多くの人々が訪れます。
6月30日には水無月大祓式が行われ、参拝者は半年間の罪や穢れを祓うために茅の輪くぐりを行います。これは6月と12月の年2回行われ、参拝者にとっては心身の浄化の機会となります。
服部天神宮では季節ごとに様々な祭事が執り行われます。例えば、1月1日の歳旦祭、2月3日の節分祭、8月の夏天神祭など、地域の人々や参拝者が神社の行事を通じて季節の変わり目を祝い、祈願しています。
服部天神宮は阪急電鉄宝塚線の「服部天神駅」から徒歩圏内に位置し、交通アクセスが非常に便利です。2013年には駅名が「服部駅」から「服部天神駅」に変更され、訪れる参拝者にもわかりやすく案内されています。
服部天神宮は、「足の神様」として多くの人々に親しまれる神社であり、特に足病平癒や健康祈願を目的とした参拝者に人気があります。また、菅原道真公との伝説に基づき、学問の神様としても崇敬されています。文化財や多様な祭事もあり、四季折々の行事や歴史を楽しめる場所です。大阪府豊中市に訪れた際は、ぜひ服部天神宮を訪れてみてください。