歴史
創建と発展
寺伝によれば、瀧谷不動明王寺の創建は弘仁12年(821年)に空海が国家安泰と万民化益を祈願し、不動明王と二童子(矜羯羅童子、制多迦童子)の像を一刀三礼で刻んだことに始まります。これらの仏像を祀るために諸堂が造営され、当初は現在の場所から約1km南に離れた嶽山(だけやま)に位置していました。
戦乱と移転
南北朝時代には楠木正成が嶽山に築いた嶽山城の守護仏として崇敬されましたが、正平15年(1360年)の戦火により諸堂が焼失しました。その後、盲目の老僧が不動明王の霊験を広め、小堂を再建しました。この老僧は空海の化身とされ、これが「眼病平癒」の信仰の起源とされています。慶長年間(1596年 - 1615年)には現在の地に移転し再建されました。
信仰と祈祷
護摩祈祷
本堂では毎日祈祷が行われ、厄除けや商売繁盛をはじめとする様々な願いを祈願できます。ただし、月に一度の仏具磨きの日(毎月25日、日・祝日は翌日)は日中の祈祷がないため、参拝時には注意が必要です。
交通安全祈願
境内の法楽殿では車両やバイクの安全祈願が行われ、祈願者と共に法楽殿前で祈祷を受けることができます。これもまた、多くの参拝者に利用されています。
眼病平癒
本尊には眼病平癒の霊験があるとされ、授与品として「晴眼守」というお守りが授与されています。このため、眼病平癒を願う参拝者が多く訪れています。
年中行事
瀧谷不動明王寺では一年を通じて多彩な行事が行われます。主な行事には以下のものがあります:
- 1月:修正会、初不動大法会
- 2月:節分会厄除け祈願大祭
- 3月:釈尊降誕会花まつり
- 5月:柴灯大護摩供春季大祭
- 7月:観世音夏祭り
- 8月:盂蘭盆施餓鬼会、地蔵盆
- 9月:秋季大祭
- 12月:納め不動
文化財
重要文化財
瀧谷不動明王寺には平安時代後期に制作された重要文化財「木造不動明王及二童子立像」があります。これらの像は1958年の解体修理時に1094年と1097年の年記が確認され、その制作時期が明らかになりました。技法は「一木割矧ぎ造」で、非常に貴重な仏像です。
交通アクセス
公共交通機関
近鉄長野線 滝谷不動駅から東へ徒歩約15分で到着します。ただし、寺院へ向かう道は車道を歩く必要があり、自動車に注意が必要です。
車でのアクセス
国道170号旧道や府道202号線を利用してアクセスできます。専用の駐車場も用意されているため、車での参拝も便利です。
瀧谷不動明王寺は、歴史と文化、そして強い信仰に支えられた寺院です。眼病平癒や厄除けを願う人々に親しまれ、多彩な年中行事や貴重な文化財が訪れる人々を魅了します。大阪府富田林市を訪れた際には、ぜひ足を運びたいスポットです。