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古市古墳群

(ふるいち こふんぐん)

古市古墳群は、大阪府羽曳野市と藤井寺市にまたがる地域に位置する、歴史的に重要な古墳群です。その価値は日本国内だけでなく、国際的にも高く評価されており、2019年には世界文化遺産に登録されました。

古市古墳群の概要

古市古墳群は、東西約2.5キロメートル、南北約4キロメートルの範囲内に位置する、計123基の古墳で構成されています。現在も87基が現存しており、これらは主に標高24メートル以上の台地や丘陵地に築かれています。その中には、墳丘長200メートル以上の大型前方後円墳が6基含まれ、これらの巨大古墳が古墳群の中心的存在となっています。

代表的な古墳

これらの古墳は、それぞれが異なる時代に築造されたと考えられており、古墳時代の権力構造や文化的特徴を物語っています。

古市古墳群の歴史的背景

古市古墳群の造営は、主に4世紀後半から6世紀にかけて行われたとされています。この時期、日本列島では大規模な古墳が次々と築かれ、王族や有力豪族の権力を象徴する場となりました。古市古墳群においても、墳丘の規模や形状から被葬者の社会的地位が推測されています。

古墳群の分類

古市古墳群は、以下のように大きく2つのグループに分けられます。

  1. 北部の古い古墳群: 主に誉田御廟山古墳や仲津山古墳を含む初期の古墳群。
  2. 南部の新しい古墳群: 前ノ山古墳(白鳥陵)などを中心とした、西向きの前方後円墳を含むグループ。

これらの古墳群の造営には、当時の有力豪族であった土師氏が深く関与していたと考えられています。

古市古墳群の史跡指定と発掘調査

現存する古墳のうち14基が2001年に国の史跡として一括指定され、その後も追加指定が行われました。また、羽曳野市教育委員会による発掘調査では、これまで未発見だった6世紀中頃の古墳も新たに発見されています。これらの発掘成果は、古墳時代の研究に新たな視点をもたらしました。

古市の大溝

1968年の航空写真調査で、古市古墳群の間を走る幅20~30メートルの大溝が発見されました。この「古市の大溝」は、古墳群形成の過程で掘削され、当時の土木技術の高さを示しています。

世界文化遺産としての古市古墳群

2008年、古市古墳群は百舌鳥古墳群とともに世界遺産の国内暫定リストに加えられ、2019年に正式に世界文化遺産に登録されました。この登録は、古墳群が日本古代文化の象徴であることを国際的に認められた瞬間でもあります。

顕著な普遍的価値

古市古墳群は、その独自の墳墓形態や築造技術、そして古代社会の階層構造を示す貴重な証拠として高く評価されています。また、他の古墳群との比較においても、日本独自の文化的伝統を象徴する存在とされています。

今後の課題と展望

古市古墳群をはじめとする古墳群の保存と公開には、様々な課題が残されています。特に、被葬者の特定や古墳時代の文化的背景の解明が求められています。また、世界遺産としての認知度向上とともに、観光資源としての活用も重要な課題です。

地域との連携

地元自治体や教育機関、観光団体が協力して、古墳群の保護と普及活動を進めています。これにより、地域活性化と歴史文化の継承が期待されています。

まとめ

古市古墳群は、古代日本の文化や権力構造を象徴する貴重な遺産です。その歴史的価値と学術的意義は、世界遺産登録を通じてさらに広く認識されるようになりました。訪問の際には、これらの古墳群が語る壮大な歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
古市古墳群
(ふるいち こふんぐん)

富田林・河内長野

大阪府