岩湧寺の概要
岩湧寺の開基は役小角と伝えられ、その創建は大宝年間(701年~704年)とされています。文武天皇の勅願寺としての地位を与えられ、桃山時代には豊臣氏の庇護を受けました。現在は融通念仏宗に属していますが、元々は天台宗の寺院でした。
江戸時代初期に建てられたとされる本堂や、室町時代末期に建立された多宝塔など、歴史的建築物が多数残されています。特に多宝塔は国の重要文化財に指定されており、その内部には大日如来像(重要文化財)と愛染明王像が安置されています。
多宝塔
多宝塔は天文年間頃に建てられたとされ、国の重要文化財に指定されています。この建物は高さ13メートルで、その内部に安置されている木造大日如来坐像(平安時代末期作)は、寄木造で像高88.7センチの貴重な文化財です。また、愛染明王像(鎌倉時代作)は河内長野市指定文化財として現在は堺市博物館に寄託されています。
本堂と寺院の自然
本堂は江戸時代初期に建てられたとされ、河内長野市指定文化財に指定されています。この建物は正面三間、側面四間の宝形造りで、寺院の歴史と文化を象徴しています。
また、岩湧寺周辺には豊かな自然が広がっており、老杉は大阪みどりの百選に選ばれています。特に「岩湧寺のカヤ」と呼ばれる樹齢約400年の巨木は、市の指定文化財として保護されています。
岩湧山の概要
岩湧山(標高897.1メートル)は河内長野市を代表する山であり、その山頂からは大阪平野や大阪湾を一望することができます。この山は新日本百名山にも選ばれ、登山者に人気のスポットとなっています。
茅場とすすきの美景
岩湧山の山頂付近には約8ヘクタールの茅場が広がっており、秋にはススキの穂が一面に広がる美しい景観が楽しめます。この風景は「新河内長野八景」の一つとして登録されています。また、ここで収穫された茅は文化財建築の修復などに利用されています。
岩湧の森「四季彩館」
岩湧寺の登山口には岩湧の森「四季彩館」があり、ここでは岩湧山の自然や歴史について学ぶことができます。訪れる人々にとって、自然を満喫しながら寺院や山の歴史を深く知る良い機会となっています。
文化財
重要文化財
- 多宝塔(室町時代末期建立、高さ13メートル)
- 木造大日如来坐像(平安時代末期作、寄木造、像高88.7センチ)
河内長野市指定文化財
- 愛染明王像(鎌倉時代作、寄木造坐像、像高58.8センチ)
- 本堂(江戸時代初期建立、正面三間、側面四間、宝形造)
- 岩湧寺のカヤ(樹齢約400年、高さ20メートル、幹回り5.97メートル)
アクセス
岩湧寺へのアクセスは、公共交通機関または自動車で可能です。自然豊かな場所に位置しているため、訪れる際には周辺の観光地も併せて楽しむことをお勧めします。
歴史ある岩湧寺と美しい岩湧山の風景は、多くの人々に感動を与えています。ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してください。