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長野温泉(河内長野市)

(ながの おんせん)

長野温泉は、大阪府河内長野市を中心とした地域に点在する温泉群です。かつては温泉街として発展しましたが、現在ではニュータウン化や再開発の影響により、その面影を残す場所は少なくなっています。現在でも「河内長野荘」や日帰り温泉施設「風の湯」など、訪れる人々に癒しを提供しています。

概要

長野温泉の源泉は、石川と天見川の合流地点付近(行者岩)に位置し、「噴出井戸」とも呼ばれています。この地域は古くから高野山への参詣道である高野街道の宿場町として賑わい、平安時代からその存在が確認されています。ただし、温泉として利用されるようになったのは江戸時代以降と言われています。

現在、温泉旅館として「河内長野荘」が営業を続けており、2002年には「風の湯 河内長野店」が開業するなど、新しい動きも見られます。

泉質

長野温泉の泉質は以下の通りです:

この泉質は、疲労回復や健康増進に効果があるとされています。

歴史

極楽寺温泉時代

長野温泉の起源は、現在の河内長野市古野町にある極楽寺に温泉が開かれたことに始まります。記録によれば、1906年に「極楽寺温泉」として開業し、文人たちにも親しまれる温泉地として発展しました。1911年までには複数の温泉旅館が営業を開始し、温泉街としての賑わいを見せました。

しかし、極楽寺では温泉施設が寺の趣旨に反するとして撤去され、その後、温泉街は次第に衰退しました。

長野温泉時代

1960年、長野町観光協会が極楽寺から温泉の権利を譲り受け、新たに温泉地として開業許可を取得しました。再開発により、複数の温泉旅館が営業を開始し、昭和中期には再び賑わいを見せました。しかし、その後のニュータウン化や再開発により、温泉街としての機能は徐々に縮小しました。

温泉街の歴史と現在

温泉街の形成と変遷

1900年から1920年頃まで、天見川周辺に温泉街が形成されました。その後、1960年代には昭和初期に「長野新地」と呼ばれた黄金橋から行者岩周辺の石川河川敷を中心に温泉街が広がりました。しかし、ニュータウン化や駅前再開発が進むにつれて、これらの温泉街は消失し、現在では一部の施設を除いてほとんど見ることができなくなっています。

現在の温泉施設

温泉街がなくなった代わりに、大阪外環状線沿いに「風の湯」などの日帰り温泉施設が開業していますが、昔ながらの温泉街の雰囲気を再現するような地域は形成されていません。

長野温泉の温泉旅館

河内長野荘

「河内長野荘」は長野公園長野地区(奥河内さくら公園)の近くに位置する温泉宿泊施設です。かつては大阪府が所有しており、「大阪府営河内長野荘」として営業していました。2005年度に河内長野市が施設を引き継ぎ、民間事業者との契約に基づき運営されています。現在では主に宿泊客や食事を伴う日帰り利用者が温泉を楽しむことができます。

風の湯 河内長野店

2002年に開業した日帰り温泉施設で、大阪外環状線沿いに位置しています。気軽に立ち寄れる施設として、多くの利用者に親しまれています。

料理旅館

長野温泉地域には以下のような料理旅館が存在します:

名所と見どころ

行者岩(ぎょうじゃいわ)

石川と天見川の合流地点にある島状の岩で、頂上には弁財天の祠が建てられています。かつて役行者がここで座禅を組んだと伝えられる神聖な場所です。

黄金橋(こがねばし)

石川に架かる橋で、現在は奥河内さくら公園や河内長野荘への玄関口として機能しています。1959年の増水で流出し、現在のコンクリート橋に架け替えられました。

錦渓温泉の歴史

油屋跡

錦渓温泉(三日市温泉)として知られる旅館「油屋」は江戸時代に開業したとされ、高野山御用宿として栄えました。近代では鉱泉を活用し、多くの人々に親しまれましたが、1975年に廃業しました。

地域の変遷

錦渓温泉の影響で、かつて寂しかった三日市村は賑わいを見せ、一時は近隣の町を凌駕するほど発展しました。しかし、都市化の進行に伴い温泉旅館は消え、現在ではその痕跡を辿ることができるのみです。

天見温泉

南天苑

天見温泉には、辰野金吾設計の本館が国の登録有形文化財に指定されている「南天苑」があります。この温泉旅館は1935年に再建され、歴史的価値の高い施設として現在も多くの人に利用されています。

その他の温泉

汐ノ宮温泉

汐ノ宮温泉は1910年に開業した歴史ある温泉で、かつては温泉街が形成されていました。現在では「汐由温泉研修センター」が鉱泉を利用しています。

滝乃郷温泉

滝畑ダムの建設に伴い廃業しましたが、かつては自然を楽しむ観光地として親しまれていました。

菊水温泉

観心寺の南にあった温泉で、行者岩を源泉としたとされていますが、現在は廃業しています。

笠神温泉(南面利の湯)

天野山南西にあったとされる温泉で、入湯所として利用されていた痕跡が残っています。

まとめ

長野温泉は、歴史と自然が調和した魅力的な温泉地です。過去の繁栄や衰退を経ながらも、一部の施設や名所が地域の魅力を伝え続けています。訪れる際には、歴史的背景を感じながら温泉や観光を楽しんでみてはいかがでしょうか。

Information

名称
長野温泉(河内長野市)
(ながの おんせん)

富田林・河内長野

大阪府