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楠妣庵 観音寺

(なんぴあん かんのんじ)

楠妣庵観音寺は、大阪府富田林市に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。山号は峰條山(ほうじょうざん)で、本尊は千手観音を祀っています。この寺院は、歴史的な背景を持ちながらも、再建を経て現在に至るまでその趣を保ち、多くの人々に親しまれています。

歴史

創建の起源

楠妣庵観音寺の起源は、延元4年/暦応2年(1339年)に楠木正行が後醍醐天皇の崩御を悼み、河内国石川郡甘南備に峰條山観音殿を建立したことに始まります。この観音殿には後醍醐天皇の念持仏である千手観音が安置されていました。

草庵の建立と久子の隠棲

正平3年/貞和4年(1348年)、楠木正行とその弟正時が四條畷の戦いで討死した後、正行の母である久子は当地に草庵を結び、敗鏡尼と称して隠棲しました。久子は念持仏の十一面観音を祀り、夫や息子、一族の菩提を弔いながら余生を過ごしました。

寺院の再建と近代化

明治時代には廃寺となりましたが、1915年(大正4年)、加藤鎮之助が廃寺跡地を購入し、1917年(大正6年)に鎌倉時代末期の建築様式に則り草庵が復元されました。その後、1922年(大正11年)には本堂が再建され、昭和天皇も行啓されています。

境内の見どころ

本堂

1922年(大正11年)に再建された本堂は、静かで厳かな雰囲気を漂わせています。楠木正行やその家族の歴史が感じられる場所です。

草庵「楠妣庵」

久子が隠棲した草庵で、1917年(大正6年)に伊東忠太博士の設計で再建されました。鎌倉時代の建築様式を再現した建物で、久子の歴史を偲ぶことができます。

庫裏「恩光閣」

1932年(昭和7年)に建立された庫裏は、昭和天皇の御大典大礼の建物を宮内省より下賜され、移築したものです。寺院を訪れる際に見逃せない建物の一つです。

楠母子像

楠木正行とその母久子の像で、1935年(昭和10年)に建立されました。母子の絆を感じさせる像で、多くの参拝者が足を止めます。

楠木一族の供養塔

七重石塔として建てられており、一族の菩提を弔う重要な場所です。

アクセス

楠妣庵観音寺は大阪府富田林市大字甘南備1103に位置しています。アクセスには近鉄長野線富田林駅から4市町村コミバス東條線(富田林市レインボーバス、近鉄バス運行委託)で「甘南備」停留所を下車すると便利です。

まとめ

楠妣庵観音寺は、歴史的な背景と美しい建築を持つ寺院として、多くの人々に訪れられています。楠木正行や久子の人生を振り返りつつ、静寂に包まれた境内で心を落ち着ける時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
楠妣庵 観音寺
(なんぴあん かんのんじ)

富田林・河内長野

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