てっちりの由来と特徴
「てっちり」という名前の由来は、フグが持つ猛毒にあります。関西では、フグが持つ毒性から「当たれば死ぬ」魚として「テッポウ(鉄砲)」、または短縮して「テツ」と呼ばれていました。この呼び名は、江戸時代に武士のフグ食が禁じられていた背景を持ち、隠語として使われていたとされています。その鉄砲を用いた「ちり鍋(水炊き)」が「てっちり」と名付けられました。
ふぐ鍋とふぐ雑炊の楽しみ方
ふぐ鍋は、フグの切り身を中心とした鍋料理で、「ふぐちり」とも呼ばれます。昆布だしで煮込み、野菜や豆腐とともに土鍋で調理されます。フグの旨みがだしに溶け込み、一層深みのある味わいが生まれます。付けダレとしてポン酢を使用するのが一般的ですが、江戸前料理では醤油と砂糖を使った甘辛い味付けも人気があります。
ふぐ雑炊で締める
鍋を食べ終えた後には、残ったスープを活用してふぐ雑炊を作るのがおすすめです。鍋の残り汁に塩で味を調整し、ご飯を入れて煮立たせます。最後に溶き卵を加えると、ふぐの旨みを余すことなく楽しむことができます。
かつて大阪を彩った「づぼらや」
づぼらやは、かつて大阪市の新世界と道頓堀に店舗を構えていたふぐ料理の専門店です。1920年(大正9年)に松田夫婦によって創業され、100年近くにわたり大阪のふぐ料理を代表する存在でした。
「てっちり」や「てっさ」などのふぐ料理を楽しめる名店として、地元の人々だけでなく観光客にも愛されました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年(令和2年)9月15日に閉店しました。
大阪のシンボルだった巨大フグ提灯
新世界と道頓堀の両店舗では、巨大なトラフグの提灯が掲げられ、大阪のシンボルのひとつとして親しまれていました。この提灯は長さ約5メートル、幅約3メートルの立体看板で、店先に浮かぶように吊るされていました。訪れる人々は、ふぐ提灯と通天閣を背景に写真を撮り、大阪の思い出を残していました。
フグの種類と旬:美味しく食べるために
フグには様々な種類があり、それぞれ旬の時期や味わいが異なります。
代表的なフグの種類
- トラフグ: フグの中でも最高級品とされ、身の締まりと旨味が特徴です。
- マフグ: トラフグに次いで美味しく、比較的安価で手に入ります。
- ショウサイフグ: 比較的安価で、唐揚げなどで食べられることが多いです。
フグの旬
フグの旬は一般的に秋から冬にかけてと言われています。特に冬は身が引き締まり、味が濃くなります。てっちりとして食べる場合は、冬が最適です。