歴史
淀川橋梁は、1929年(昭和4年)に城東貨物線の建設に伴い架設されました。当初は複線対応で設計されていましたが、輸送需要を踏まえて下流側の線路のみが敷設され、単線での運行が行われていました。その余ったスペースを利用して、大阪市は「赤川仮橋」と呼ばれる木製の歩道を設置し、鉄道と道路の併用橋として2013年10月31日まで使用されました。
地域住民に愛された赤川仮橋
赤川仮橋は、地域住民にとって重要な生活道路であるだけでなく、淀川の野鳥やヨシが繁茂するワンドを観察できるスポットとしても親しまれていました。また、21世紀に入ると歩道部分に鉄板が敷かれるなどの改修が行われ、「歩きやすくなった」という声も寄せられました。
おおさか東線開業と歩道の閉鎖
2019年(平成31年)3月16日、おおさか東線(新大阪駅~放出駅)の開通に伴い、橋梁の複線化が決定されました。そのため、2013年10月31日に赤川仮橋は閉鎖され、鉄道専用橋へと転換されました。橋梁の老朽化に伴い、旧歩道部分に新たな線路を敷設し、現在線を移設して再整備する形が取られました。これにより、鉄道と歩道の併用橋としての役割は終了しました。
橋梁の特徴と設計
- 形式:複線下路ワーレントラス
- 橋長:610.739m(延長597m、幅8m50cm)
- 径間:31.619m
- 橋脚中心間隔:34.058m
- 径間数:18連
- 完成:1929年(昭和4年)3月15日
- 設計:鉄道省
戦争の痕跡と歴史的価値
淀川橋梁の橋脚には、第二次世界大戦中に米軍のP-51マスタングの機銃掃射による弾痕が残っています。また、近くにはB-29による空襲でできたクレーターが「爆弾池」として残され、現在はワンドの一部となっています。
橋梁の変遷と北側の変化
かつて橋の北側には亀岡街道踏切が設置されていましたが、2018年9月1日に廃止され、立体交差化が行われました。これにより、おおさか東線は道路をオーバーパスする形になり、交通の安全性と利便性が向上しました。
現在の橋梁の姿と色の変遷
現在、淀川橋梁は蒼白色に塗り替えられていますが、以前は錆止めのための赤褐色で塗装されていました。これにより、長年の風雨や老朽化にも耐えながら、時代に応じたメンテナンスが施されてきました。
文化と作品への登場
淀川橋梁(赤川鉄橋)は、その独特の景観から、多くの映像作品の舞台となっています。NHKの連続テレビ小説『やんちゃくれ』や『まんてん』、土曜ドラマ『不惑のスクラム』、さらにGARNET CROWの楽曲『忘れ咲き』のPVなどにも登場しています。
アクセス情報
淀川橋梁へのアクセスは以下の通りです。
- 阪急電鉄(京都本線・千里線):淡路駅から徒歩約15分
- 大阪シティバス:37号系統・93号系統「東淡路一丁目」停留所から徒歩5分
まとめ
淀川橋梁は、鉄道橋としての機能だけでなく、地域住民の生活道路としても長年にわたり利用されてきました。戦争の痕跡を残しつつ、時代の変化に応じて役割を変えてきたこの橋は、歴史的にも価値のある構造物です。今後もおおさか東線の一部として、多くの人々に利用され続けることでしょう。