祭神
白山神社の主祭神は菊理媛神(くくりひめのかみ)です。この神は人々の間の和を取り持ち、調和をもたらす神として崇敬されています。
歴史
創建と由緒
白山神社の創建についての詳細は不明ですが、石碑に記された「白山神社由諸略記」から、その歴史がうかがえます。もとは「白山妙理権現」として知られ、中浜や鴫野、森之宮などの地域で氏神として信仰されていました。
戦火と再建
天正4年(1576年)、織田信長が大坂本願寺を攻撃した石山合戦の際に、白山神社の本殿は焼失してしまいます。その後、慶長8年(1603年)に豊臣秀頼によって再建されました。しかし、慶長19年(1614年)の大坂冬の陣では、幕府軍の本多忠朝が神社に本陣を構えたことで再び兵火に見舞われます。
その後、元和3年(1617年)に大坂城代の内藤信正によって再建されたとされますが、実際には年代が少し異なるため、再建の正確な時期については諸説あります。
明治時代以降の変遷
1872年(明治5年)の神仏分離によって、神社はそれまでの「白山権現」という名称を失い、「白山神社」に改称されました。また、同時に村社としての格付けがなされ、地域の守り神としての地位がさらに確立されました。
境内の施設
本殿
元和3年(1617年)に再建された本殿は、その後も何度も改修が行われ、現在までに計8回の改修が施されています。1915年(大正4年)にも改築が行われ、現在の姿が完成しました。
その他の施設
- 幣殿 - 1927年(昭和2年)に改築。
- 拝殿 - 1927年(昭和2年)に改築。
- 神饌所 - 1927年(昭和2年)に改築。
- 遥拝所
- 社務所
摂社・末社
- 光徳稲荷神社 - 祭神:宇迦御魂大神
- 白山宮
- 神明社(権殿) - 祭神:天照大神ほか9座(享保6年建立)
文化財
大阪府指定天然記念物
白山神社の境内には、大阪府指定の天然記念物である大きなイチョウの木があります。このイチョウは1949年(昭和24年)に指定を受けました。樹高は約4.5メートルに及び、かつて平野川の堤防に並ぶ木々の中で唯一現存するものです。
伝承によれば、大坂冬の陣の際に幕府軍の本多忠朝がこのイチョウの上に登り、戦況を偵察していたとされています。しかし、現在では周囲にビル群が立ち並び、視界が遮られてしまったため、同じように戦場を見渡すことは不可能です。
神事
例祭
白山神社の例祭は毎年10月17日に行われ、地域住民に親しまれています。例祭の際には、参拝者が多く集まり、賑やかな雰囲気の中で神事が執り行われます。
現地情報
所在地
大阪府大阪市城東区中浜2丁目3-15
交通アクセス
- Osaka Metro中央線・今里筋線「緑橋駅」から徒歩10分
- Osaka Metro中央線・大阪環状線「森ノ宮駅」から徒歩15分
- Osaka Metro今里筋線・JR学研都市線「鴫野駅」から徒歩15分
白山神社は、歴史的な出来事にたびたび関わりながら、地域の人々に信仰されてきた神社です。豊かな自然と文化財が調和するこの場所は、訪れる人々に心の安らぎと歴史への思いをもたらします。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。