館内の展示内容
館内は4つの展示室に分かれており、貨幣や勲章、メダル、工芸品などが展示されています。総計約4,000点にも及ぶ展示品は、日本国内外の貨幣や勲章・メダルの歴史を物語っています。入口の広間には、1867年製造の大時計が展示されており、来館者を迎えています。
第1展示室 - 造幣局の歴史
第1展示室では、創業当時の造幣局全景の模型や、当時使われていた時計、ガス灯、天秤などが展示されています。特に注目すべきは、日本最古の西洋式ガス灯の展示です。造幣局では1871年からガス灯用のガスを敷地内で製造しており、その技術力の高さが窺えます。
第2展示室 - 現代の造幣局と体験コーナー
第2展示室では、貨幣や勲章の製造工程が紹介され、映像による造幣事業の紹介もあります。また、千両箱や貨幣袋の重さを体験できるコーナーや、金塊・銀塊に触れることができるコーナーもあり、見学者にとって興味深い体験ができます。
第3展示室 - 日本の貨幣の歴史
第3展示室では、和同開珎をはじめとする日本の歴史的な貨幣が展示されています。日本の貨幣の発展を視覚的に学ぶことができ、歴史の流れを感じられる内容です。
第4展示室 - 外国の貨幣、貨幣セットおよび金属工芸品
第4展示室には、オリンピックのメダルや国民栄誉賞の盾などが展示されており、外国の貨幣や貴重な金属工芸品も揃っています。国内外の貨幣や工芸品の魅力が堪能できる展示です。
エントランスと主要展示
造幣寮全景模型
エントランスホールには、創業当時の造幣寮の全景を再現した模型が展示されています。この模型は1/300の縮尺で作られ、当時の敷地の広さや設備の様子がよく分かる貴重な展示物です。
大時計
この時計は1876年に大野規周技師によって製作され、かつては工場の正面に取り付けられ、局内に時を知らせていました。大時計の精巧な造りやデザインは、当時の高度な技術を示しています。
体験コーナー
2階には様々な体験コーナーがあり、来館者が実際に手に触れることで造幣の歴史や重さを体感できるようになっています。
千両箱の重さ体験
時代劇でもおなじみの千両箱の重さを体験することができます。1箱には慶長小判1000枚が収納でき、箱を含めた重さは約20kgにもなります。この体験コーナーでは、その重さを実感できます。
貨幣袋の重さ体験
貨幣袋の重さも体験可能です。検査工程を経た貨幣は、厳密に数えられ、袋詰めされます。この袋詰めされた貨幣の重さを感じることができる貴重な体験です。
金塊・銀塊に触れるコーナー
実物の金塊(約15.9kg)や銀塊(約33.5kg)に触れることができるコーナーです。普段なかなか触れる機会のない金属の重みを直接体感できるため、大変人気の展示です。
展示品の紹介
洋式帳簿
造幣局では、わが国初の洋式帳簿が導入されました。ペンとインクで記帳するこの帳簿は、当時の管理体制を示す貴重な資料です。鍵付きで保管されていたため、しっかりとした管理が行われていたことが伺えます。
和英語林集成(和英辞典)
慶応3年(1867年)に上海で印刷された日本初のヘボン式和英辞典が展示されています。これは、当時造幣局の首長が使っていたもので、歴史的価値が非常に高い一品です。
自動天秤
造幣局では円形の貨幣を自動で計量する「自動天秤」が使われていました。この装置は正確な重量を測定するための重要な機器であり、貨幣の質を保証するために欠かせないものでした。
手まわし計数機
手動で貨幣を24枚ずつ数えることができる計数機も展示されています。明治3年(1870年)に製作され、金・銀・銅貨幣の計数に用いられていた貴重な機器です。
オリンピックの入賞メダル
東京オリンピック入賞メダル
昭和39年(1964年)に東京で開催された第18回オリンピック夏季競技大会のメダルも展示されています。金メダルには純銀台に金メッキが施され、銀メダルも高純度の銀が使用されており、品質の高さが特徴です。
長野オリンピック入賞メダル
平成10年(1998年)に長野県で行われた冬季オリンピックの入賞メダルも展示されています。メダルのデザインには、蒔絵や七宝が使用され、信州の山々の朝焼けを美しく表現しています。
国民栄誉賞の盾
国民栄誉賞は、社会に貢献した人物に贈られる賞で、造幣局では第10回目の受賞者から盾の製造を担当しています。受賞者の栄誉を讃えるシンボルとして、丁寧に作られています。
まとめ
造幣博物館は、歴史的な建物と貴重な展示品が揃い、貨幣や勲章の歴史を学ぶことができる魅力的な博物館です。見学者は、造幣局の技術や日本の貨幣の進化を深く理解できるほか、様々な体験コーナーで貨幣の重さや価値を直接体感することができます。是非一度訪れ、造幣博物館ならではの展示と体験をお楽しみください。