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水道記念館(大阪市)

(すいどう きねんかん)

水と歴史を学ぶ

水道記念館は、大阪市水道局が大阪市東淀川区に設置した科学館です。大阪市の水道の歴史や仕組みについて、楽しみながら学ぶことができます。

建築概要と歴史

開設の経緯

1995年11月25日に大阪市の水道通水100周年を記念して開館しました。この施設は、歴史的建造物である「旧第一配水ポンプ場」を活用しており、1914年に宗兵蔵の設計によって竣工されたものです。建物は赤煉瓦と御影石を用いたネオ・ルネッサンス様式で、1999年に国の登録有形文化財に指定されました。また、2022年9月には土木学会選奨土木遺産にも認定され、夜間にはライトアップが行われています。

水道記念館の展示

水道事業の役割や水の大切さ、浄水場の仕組みなどを、映像やグラフィックパネルを用いて分かりやすく紹介しています。

歴史との出会い

江戸時代から現代に至る水道の歴史を、親しみやすいイラストで紹介する「水道局の歴史スロープ」や、大正3年から実際に使用されていたポンプの実物を展示する「送水ポンプの歴史」など、歴史を感じさせる展示もあります。

体験型展示

江戸時代の街並みをリアルに再現した「江戸時代のくらしと水」や、配水・給水管カットモデルの展示「地下の水の道」など、体験型の展示も充実しています。

水の仕組みを学ぶ

「水道のしくみ」では、水道の安心・安全がどのように守られているかを映像と展示パネルで紹介しています。「水の使用量」では、ペットボトルタワーで水の使用量を比較することができます。

環境への取り組み

「水道局の取り組み」では、水道料金や水道局の災害対策、環境対策などを展示パネルで紹介しています。SDGsや海洋プラスチック問題に関する展示もあり、環境問題について考えるきっかけを与えてくれます。

淡水魚の水族館としての役割

水道記念館はかつて琵琶湖・淀川水系の淡水魚や水生生物の展示が行われていました。開館当初から、水族館としても高い評価を受けていました。2012年7月までに142種、9,274個体の水生生物が飼育され、日本の天然記念物であるイタセンパラや絶滅危惧種のアユモドキも展示されていました。これにより、開館以来の累計来場者数は100万人を超え、2011年度だけで93,558人が来館しました。

水族館閉館と展示の終了

2012年、当時の橋下徹市長による市政改革の一環として、水族館事業が見直されました。市長は水道事業の府市統合を進める中で、「水道局が水族館を運営することの必要性」に疑問を呈し、展示の休止が決定されました。同年4月には水道記念館が一時休館となり、一部の希少種は大阪府立環境農林水産総合研究所に移されることになりました。

市民の反応と要望

水族館の閉館に際し、市民や専門家から反対の声が多く寄せられました。「淀川水系の淡水魚を次世代につなぐ会」の長田芳和大阪教育大学名誉教授や「公益社団法人 大阪自然環境保全協会」は、施設の存続を求める要望書を市に提出しましたが、市の方針は変わりませんでした。

施設の再開と新たな取り組み

2013年に水道局は施設の有効活用を目指し、「水道記念館活用事業者」を公募しましたが、応募はありませんでした。2016年8月には学習施設として部分的にリニューアルし、夏季休暇期間に再開館。その後、2017年からは休日にも開館するようになりました。しかし、2018年7月には最後まで飼育されていたアユモドキとイタセンパラの個体が死亡し、これをもってすべての生物展示が終了しました。

施設情報

開館時間と料金

開館時間:10時~16時
開館日:土曜日、日曜日、祝日(12月~2月の冬季を除く)
入館料:無料

所在地

〒533-0024 大阪府大阪市東淀川区柴島1丁目3番1号

アクセス

まとめ

水道記念館は、大阪市の水道事業の歴史や自然環境への理解を深める貴重な学びの場として、長年にわたって多くの来館者に親しまれてきました。水族館としての展示は終了しましたが、学習施設としての役割を果たし続けています。大阪の水の歴史に触れることができるこの記念館は、地域住民のみならず観光客にとっても訪れる価値のあるスポットです。

Information

名称
水道記念館(大阪市)
(すいどう きねんかん)

梅田・新大阪

大阪府