咲くやこの花館の歴史と背景
咲くやこの花館の建築は、1987年6月に着工し、1989年3月に完成しました。この建物は、1990年に開催された「国際花と緑の博覧会」において大阪市のパビリオンとして設計され、建設されました。設計は「日建設計」と「ランテック計画事務所」が担当し、鉄骨造(S造)および一部鉄筋コンクリート造(RC造)で建設されています。高さ約30メートル、地上2階、塔屋1階、地下1階の構造を持つこの建物は、訪れる人々に独特の存在感を与えています。
設計コンセプト
この植物館のデザインは、周辺地域がかつて湿地帯であったという歴史に由来し、水面に浮かぶ睡蓮の花をイメージして設計されています。また、「咲くやこの花館」という名称は、一般公募によって選ばれたもので、古今和歌集に詠まれた「難波津に咲くやこの花冬ごもり 今は春べと咲くやこの花」という歌から由来しています。
館内の施設と展示内容
咲くやこの花館は、多彩な植物を展示するだけでなく、来館者に楽しい学びとリラックスの場を提供しています。館内には様々なゾーンがあり、それぞれ異なる気候帯や地域の植物が栽培されています。
フラワーホール
フラワーホールは、展示会や音楽会を開催できる多目的ホールです。来館者が休憩できるスペースでもあり、さまざまなイベントがここで開催されています。
熱帯雨林植物室
このゾーンでは、ヤシやガジュマルなどの熱帯雨林植物が展示されています。熱帯のジャングルにいるかのような雰囲気を体験でき、絞め殺しの木として知られるガジュマルやベンジャミンゴムノキなど、見逃せない植物が多くあります。
熱帯花木室
ハワイやタヒチの美しい風景を思わせる熱帯花木室では、ハイビスカスやブーゲンビレアといった代表的な熱帯植物が楽しめます。また、バナナやパイナップルなどの実も展示されており、南国の雰囲気を味わうことができます。
乾燥地植物室
乾燥地植物室では、サボテンや多肉植物など、乾燥地帯に生育する植物を展示しています。アフリカ、南北アメリカ、オーストラリアなど、地域ごとに分けて展示されており、それぞれの特徴的な植物が楽しめます。
高山植物室
このゾーンでは、標高5,000メートル付近に自生する高山植物を展示しています。夏でも温度を20度以下に保つことで、ヒマラヤや日本の高山植物を自生地に近い環境で観察できます。
極地植物室
南極や北極の極地植物が展示されているこのゾーンでは、極限の環境下で育つ植物たちを見ることができます。地球上でもっとも厳しい環境に生息する植物たちの生命力を感じられる展示です。
外部庭園
館内の展示室に隣接する外部庭園は、さまざまなテーマに基づいて設計されています。ロータスガーデン、トロピカルガーデン、メディタレニアンガーデンなど、屋内と屋外が一体化した設計で、自然をより身近に感じることができます。
イベントと見学ツアー
咲くやこの花館では、定期的にさまざまなイベントが開催されています。1日に3回、スタッフが解説を行いながら館内を案内する「フラワーツアー」は特に人気です。季節ごとのイベントや展示も見逃せません。
料金とアクセス情報
入館料は、大人500円、中学生以下は無料です。障がい者手帳をお持ちの方や、大阪市内に在住する65歳以上の方は無料で入館できます。定休日は月曜日(祝日の場合は翌日)と年末年始(12月28日〜1月4日)です。
アクセス
Osaka Metro長堀鶴見緑地線「鶴見緑地駅」から徒歩10分の距離にあります。公共交通機関でのアクセスが便利です。
まとめ
咲くやこの花館は、大阪市鶴見区にある、日本最大級の屋内植物園です。国内外のさまざまな植物を楽しめるだけでなく、イベントやツアーなどを通じて、植物について学ぶこともできます。自然の魅力を五感で感じられるこの場所は、大人から子供まで幅広い年齢層に愛されています。ぜひ、一度足を運んでみてください。