創立と移転の歴史
現在の博物館が長居公園に開館したのは1974年(昭和49年)4月ですが、そのルーツは1950年(昭和25年)に大阪市立美術館内に開設された「旧自然科学博物館」にまで遡ります。
博物館は1957年から1973年まで大阪市西区の元靱小学校の校舎を改装した施設で運営されていました。1974年、長居公園への移転を機に「大阪市立自然史博物館」と改称し、その後も活動を拡大しています。2001年には創立50周年記念特別展「50周年だヨ!標本集合!!~自然史博物館の歩み~」を開催し、多くの来館者を迎えました。
館内施設
本館の展示スペース
館内には多彩な展示スペースが用意されています。
- ナウマンホール:大型展示が行われるエリア
- 第1~5展示室:各テーマに沿った展示が展開される場所
- イベントスペース・ギャラリー:来館者参加型のイベントや特別展を開催
- 講堂:講演会やセミナーの場として利用
「花と緑と自然の情報センター」内の施設
長居公園内の「花と緑と自然の情報センター」にも関連施設が存在し、以下のようなスペースがあります。
- ネイチャースクエア・大阪の自然誌:地域の自然に関する展示
- ネイチャーホール:特別展示を行うホール
- ミュージアムショップ:関連グッズや書籍を販売
屋外展示と教育用施設
博物館の屋外エリアには、ガラス屋根の下にナガスクジラやマッコウクジラなどの標本が展示されています。また、教育用の集会室や実習室、会議室も備えており、多様な学びの場を提供しています。
友の会の活動
大阪市立自然史博物館が特色ある博物館として評価される要因のひとつが、「友の会」の存在です。友の会には、自然史に興味を持つ初心者から専門家まで多くの市民が参加し、学芸員と連携して自然観察会や調査研究活動を実施しています。このような会員主体の活動は、後に他の自然史系博物館にも大きな影響を与えました。
友の会から派生する活動
友の会のメンバーの中には、特定の分野に特化した同好会や研究グループも数多く生まれています。これにより、博物館は地域社会に深く根付いた学術的なコミュニティを形成し、専門的な活動を支える基盤としても機能しています。
普及活動と研究への取り組み
大阪市立自然史博物館は普及教育活動を活発に行う一方、学術研究にも重点を置いています。学芸員を研究職として採用し、1964年には返還免除職機関の指定を受け、1976年には文部省の科学研究費補助金対象機関に指定されました。これにより、国内の他の博物館にも大きな影響を与え、研究機関としての地位を確立しました。
学芸員の専門分野
2018年現在、以下のような専門分野ごとに学芸員が配置されています。
- 動物研究室:海産生物・魚類・鳥類
- 昆虫研究室:鱗翅目(チョウ目)・甲虫目・膜翅目
- 植物研究室:種子植物・菌類
- 地史研究室:脊椎動物化石・放散虫化石・植物化石
- 第四紀研究室:地層学・堆積学
アクセス情報
博物館へのアクセス方法は以下の通りです。
- Osaka Metro御堂筋線「長居駅」:約800m
- JR阪和線「長居駅」:約1km
- 近鉄南大阪線「矢田駅」:約1.8km
- 大阪シティバス:「長居東」または「長居東2」バス停下車
関連団体と活動
大阪市立自然史博物館を拠点に活動する団体は数多く存在し、自然研究のネットワークを構築しています。代表的な団体には以下のものがあります。
- 大阪市立自然史博物館友の会
- 双翅目談話会
- 大阪鳥類研究グループ
- アサギマダラを調べる会
- なにわホネホネ団
まとめ
大阪市立自然史博物館は、地域社会に深く根ざし、自然の魅力を伝える活動を続ける重要な施設です。友の会を中心とした市民参加型の取り組みや、専門的な研究活動を通じて、今後も多くの人々に自然への理解を深める場として貢献していくことでしょう。