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住吉区

(すみよしく)

住吉区は、大阪市の24行政区の一つであり、市の最南部に位置します。上町台地の南端にあり、大和川を境にして堺市の堺区・北区と接しています。鉄道6路線とあびこ筋・あべの筋の2本の主要道路が区内を通り、都心部と南北をつないでいます。本エリアは、歴史的・文化的価値の高い神社や寺院、古墳、史跡が数多く点在しています。伝統的な日本文化を感じられる場所として、地元の人々だけでなく観光客にも人気があります。

住吉区の神社・寺院・史跡

住吉大社

創建と歴史: 住吉大社は、仲哀天皇9年(200年)に住吉大神を祀るために建立された、1800年の歴史を持つ日本屈指の大社です。全国にある住吉神社の総本社としても知られ、厄除けや海上守護の神として多くの参拝者が訪れます。

文化財と行事: 境内には国宝に指定された本殿があり、毎年1月の「初詣」には多くの人が集まります。7月末に行われる「住吉祭」も、盛大な神事の一つです。

住吉行宮跡

南朝との関わり: 住吉行宮は、後醍醐天皇の子である後村上天皇の南朝の御座所として機能しました。後村上天皇は約10年間、この地を皇居とし、次代の長慶天皇はここで即位したとされています。

明治時代の史跡指定: 明治天皇がこの地を訪れたことを契機に、住吉行宮跡は史跡に指定されました。当時、住吉大社の宮司を代々務めていた津守氏の館「住之江殿(正印殿)」の跡地としても知られます。現在では敷地の一部のみが国の史跡として残り、近年まで津守氏の子孫が住んでいました。

大依羅神社

大依羅神社は、住吉区の神聖な場所の一つで、地域の信仰の中心として古くから崇敬を集めています。

吾彦山大聖観音寺(吾彦観音・我孫子観音)

吾彦山大聖観音寺は、地元では「あびこ観音」として親しまれており、多くの参拝者が訪れる寺院です。特に節分の時期には、厄除けを祈願する人々で賑わいます。

宝泉寺

創建者: 宝泉寺は、平安時代の高僧である恵心僧都(源信)によって創建されました。住吉十三仏の一つとしても知られ、融通念仏の信仰が続く霊場です。

帝塚山古墳

帝塚山古墳は、大伴氏の大伴金村の墓とされる古墳で、考古学的な価値も高く、地域の歴史を今に伝えています。

万代池

万代池は、古くから地域の自然環境と密接な関わりを持つ池で、市民の憩いの場としても親しまれています。

紀州街道

紀州街道は、江戸時代に栄えた街道で、かつては紀州(和歌山)と大阪を結ぶ重要な交通路でした。現在でも当時の面影を感じられる場所が残されています。

熊野街道

熊野街道は、熊野三山への参詣路として多くの人が往来した道です。住吉区内の一部にもその痕跡が残り、歴史探訪の場として人気があります。

生根神社

通称「奥の天神」: 生根神社は、西成区にある生根神社と区別するため、「奥の天神」とも呼ばれています。神社は地元の守護神として、多くの信仰を集めています。

止止呂支比賣命神社(若松神社)

この神社は「若松神社」の名でも知られ、住吉区の人々に親しまれています。特に初詣や夏祭りの時期には、多くの参拝者で賑わいます。

区の地理と住宅地

住吉区の北部は、阿倍野区の帝塚山一丁目から連なる住宅街が広がり、高級住宅街である帝塚山中や帝塚山西があります。さらに、住吉大社を中心にした住吉や上住吉は、伝統的な住宅地域として知られています。また、その周囲には、清水丘や遠里小野、南住吉、山之内などの住宅街が形成され、勤め人世帯が多い地域として発展しています。

農地から住宅地への変遷

住吉区の現在の区域は、かつての住吉郡(後に東成郡)に属する住吉村・墨江村・長居村・依羅村の大部分と、西成郡の粉浜村の一部に相当します。1950年代までは区の東部・南部に農地が広がっていましたが、宅地開発が進み、2010年代にはほとんどの農地が住宅地に変わりました。

住吉区の歴史

古代から中世

住吉は古くから「すみのえ」と呼ばれ、『万葉集』にも登場する歴史ある地域です。古代には、港町である住吉津(すみのえのつ)が栄え、それを守護するために住吉大社が建立されました。中世には、住吉大社の宮司家である津守氏の館「住之江殿」が南朝の後村上天皇の御座所となり、約10年間にわたって皇居として機能しました。

近代以降の変遷

1879年に郡区町村編制法が施行され、住吉郡役所が安立町に置かれましたが、郡は1881年に廃止され、1896年には東成郡に統合されました。1925年には、大阪市の第二次市域拡張に伴い、住吉区が誕生しました。当初は「阿倍野区」と命名される予定でしたが、最終的に「住吉区」が正式名称として採用されました。

区の再編と住之江区の成立

1943年には、阿倍野区と東住吉区を分区し、さらに西成区との間で境界の見直しが行われました。その後、1974年に住吉区から住之江区が分離し、現在の住吉区の区域が確定しました。住吉大社や歴史的な地域を含む区として、住吉区は現在もその名を受け継いでいます。

住吉区の名所と史跡

住吉大社

住吉大社は、仲哀天皇9年(200年)に創建され、1800年以上の歴史を持つ神社です。日本でも屈指の大社として、年間を通じて多くの参拝者が訪れています。

住吉行宮跡

後村上天皇が一時的に皇居として使用した「住吉行宮跡」は、南朝の重要な拠点でした。明治時代に明治天皇が訪れたこともあり、現在は国の史跡に指定されています。

吾彦山大聖観音寺(あびこ観音)

あびこ観音として知られるこの寺は、古くから人々に親しまれており、厄除けや安産の祈願で訪れる参拝者が多くいます。

住吉区の魅力

住吉区は、その豊かな歴史と伝統を感じさせる神社や史跡だけでなく、自然と共存する美しい景観も魅力です。地元の人々にとっても観光客にとっても、歴史探訪や自然散策を楽しめる場所として価値があります。

アクセスと観光のポイント

住吉区へは、大阪市内から電車やバスでのアクセスが便利です。住吉大社を中心に、周辺の史跡を散策することで、この地域の歴史と文化をより深く理解できるでしょう。また、紀州街道や熊野街道沿いの散策も、古の時代を感じる貴重な体験となります。

まとめ

住吉区は、歴史的な名所と現代的な住宅地が調和した地域です。交通の便も良く、住吉大社をはじめとする観光地や文化財が多くの人々を引きつけます。住吉区の長い歴史は、古代から現代に至るまで多くの変遷を経てきましたが、その魅力と伝統は今もなお色褪せることなく受け継がれています。

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住吉区
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