祭神
大依羅神社の主な祭神は次の通りです。
主祭神
- 建豊波豆羅和気王(たけとよはずらわけのきみ) - 第9代開化天皇の皇子
- 底筒之男命(そこつつのおのみこと) - 住吉三神の一柱
- 中筒之男命(なかつつのおのみこと) - 住吉三神の一柱
- 上筒之男命(うわつつのおのみこと) - 住吉三神の一柱
配祀神
大己貴命、月読命、垂仁天皇、五十猛命などの神々も、本殿に配祀されています。
合祀神
1907年に周辺の草津大歳大神、我孫子神社、奴能太比売大神などが合祀され、現在の祭神体系が形成されました。
神社の由来と依網地域
依網地域の歴史
「依羅」という社名は、依網(よりあみ)という地域名に由来しています。古くは『日本書紀』に「依網池」の築造が記録されており、この池は農業用の溜池として王権により整備された重要な施設でした。しかし、1704年の大和川の付け替え工事で大部分が失われ、一部は「味右衛門池」として残りましたが、1969年に埋め立てられました。
依網氏との関わり
依網地域には古代氏族「依羅氏」が居住していたことが知られており、大依羅神社の管理にも関わったと考えられています。『古事記』によれば、建豊波豆羅和気王は依羅氏の始祖とされていますが、他の文献では異なる系譜も見られ、依羅氏には複数の系統が存在したことが示唆されています。
歴史
古代の大依羅神社
創建は不明ですが、依網の地域神として古くから信仰されてきました。『新抄格勅符抄』によると、天平神護元年(765年)には神戸として18戸が充てられていた記録が残されています。また、平安時代には朝廷から度々神宝の奉納を受けるなど、重要な神社として認識されていました。
中世の衰退と再建
中世になると依網氏の衰退に伴い神社の勢いも低下し、近隣の大聖観音寺が社務を担うようになりました。万治2年(1659年)には火災で社殿が焼失し、再建されました。
近代以降の発展
明治時代に神仏分離が行われ、大聖観音寺から独立しました。その後、郷社から府社に昇格し、1931年に正式に府社として認定されました。しかし、1969年に再び火災に見舞われ、1971年に鉄筋コンクリートで社殿が再建されました。
神階
大依羅神社は古代から近代にかけて、朝廷からさまざまな神階を授けられました。承和14年(847年)には官社に指定され、天安3年(859年)には従四位下に昇進。延喜9年(909年)には正二位まで昇叙されました。
境内の見どころ
本殿
現在の本殿は、1969年(昭和44年)の火災で焼失した旧社殿の再建として、1971年(昭和46年)に建てられました。 鉄筋コンクリート構造で、以前の本殿の流造を踏襲しつつも、現代的なデザインが取り入れられています。
竜神井(龍神井)
境内南西隅には「竜神井」と呼ばれる井戸があります。依網池に住む竜蛇が農夫に井戸水を祈れば降雨を約束すると伝えられ、 旱魃の際には実際に祈雨祈願が行われていました。また、かつて境内北側にあった「庭井」も地名の由来となっています。
神楽殿と新神楽殿
神楽殿は息長帯姫命(神功皇后)を、新神楽殿は天鈿売命を祀っています。 祭事の際には、これらの神楽殿で伝統的な神楽舞が奉納されます。
摂末社
大依羅神社の境内には、いくつかの摂末社が祀られています。それぞれの社には異なる神が祀られ、 地域の人々の信仰を集めています。
代表的な摂末社
- 神明社 - 祭神:天照大御神、豊宇気比売大神
- 天神社 - 祭神:菅原道真
- 稲荷社 - 祭神:倉稲魂大神
- 龍神社 - 祭神:龍大神
祭事
大依羅神社では、一年を通じてさまざまな祭事が行われます。 地域の人々にとって重要な行事として親しまれており、訪れる観光客にもおすすめです。
主な祭事
- 春大祭(例祭) - 毎年4月16日に行われます。
- 夏大祭 - 7月第2日曜日に本祭が開催され、前日に宵祭が行われます。
- 秋大祭 - 10月第2日曜日に本祭が開催され、前日に宵祭が行われます。
文学と大依羅神社
藤原定家の『拾遺愚草』には、大依羅神社に関する和歌が詠まれています。
君が代は 依羅の杜の とことはに 松と杉とや 千とせ栄えむ
— 藤原定家
この和歌は、神社の長寿と繁栄を祈る心が込められたものです。
交通アクセス
鉄道でのアクセス
大依羅神社へは、Osaka Metro御堂筋線 我孫子駅(あびこ駅)から徒歩約15分でアクセスできます。 駅からの道のりは比較的分かりやすく、途中には地域の風景を楽しむことができます。
まとめ
大依羅神社は、古代から続く依網地域の信仰と密接に結びついた神社であり、現在も地域の人々に親しまれています。長い歴史の中で火災や衰退を経験しながらも、再建と発展を繰り返してきたこの神社は、大阪の歴史と文化を感じる貴重な場所です。参拝に訪れる際には、その背景にある古代からの歴史にも思いを馳せると、より深い感慨を得られるでしょう。