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平野区

(ひらのく)

古くから開発が進められてきた歴史的な地域

大阪市平野区は、大阪市を構成する24行政区の中で最も人口が多い区です。歴史的にも重要な地域であり、古くから開発が進められ、交通の要所として栄えてきました。現代では住宅地や商業施設が発展し、交通の便も非常に良い地域として知られています。

平野区の位置と特徴

平野区は大阪府のほぼ中央に位置しています。区内は主に平坦な地形で、北西部には上町台地の南部が広がり、南部には大和川が流れています。また、区内には広大な瓜破霊園もあります。

平野区内を流れる主な河川には、大和川、東除川、平野川、平野川分水路、空港放水路があります。これらの河川は地域の水利や自然環境に大きな役割を果たしています。

平野区の歴史

平安時代から続く「平野」の起源

平野の地名は平安時代末期まで遡ることができます。当時は摂津国住吉郡平野荘と呼ばれ、坂上田村麻呂の次男・坂上広野がこの地を治めたとされています。「平野」の地名の由来には諸説あり、広野が訛って平野となった説や、湖沼を埋め立てて「野が平らになった」ことに由来する説があります。

戦国時代の平野と自治都市としての発展

戦国時代、平野は坂上氏庶流の平野氏七名家による自治が行われました。この時代、町の周囲に二重の濠や土居が巡らされ、13ヶ所の出入口には門と門番屋敷が設置されました。これにより、平野は防衛機能を備えた自治都市として繁栄しました。

大坂夏の陣と平野

1615年(元和元年)の大坂夏の陣では、平野に徳川秀忠の本陣が置かれました。この戦いを契機に、平野の復興が行われ、環濠の掘り直しや水運の整備が進められました。

江戸時代の発展と文化

江戸時代、平野は河内国の綿花の集積地として栄えました。この影響で綿花が区の花に選ばれています。また、1671年(寛文11年)には馬継場にも指定され、水運と陸運の要所としてさらに発展しました。

杭全神社と平野の文化

862年(貞観4年)、坂上当道が創建した杭全神社は平野の重要な文化拠点となっています。鎌倉時代には連歌所が設けられ、江戸時代には含翠堂という郷学も開設されるなど、平野は学問と文化の地でもありました。

現代の平野区

環濠都市の名残

平野区では、かつての環濠都市の名残を感じられる場所が一部に残っています。杭全神社の周辺には200メートルほどの環濠が現存し、当時の面影を偲ばせます。

平野区の5地区

平野区は大きく分けると、平野、喜連、加美、瓜破、長吉の5つの地区から成り立っています。平野と喜連は摂津国、加美、瓜破、長吉は河内国に属していました。住居表示にあたり、町名に東西南北をつけて整理されたケースが多いですが、長吉エリアはその歴史を後世に残すため、「長吉」を冠した町名が使用されています。

景観復元と文化保存の取り組み

1999年(平成11年)以降、大阪市のHOPEゾーン事業の一環として平野郷の景観復元や文化保存が進められています。この取り組みにより、歴史的な街並みが再評価され、多くの観光客が訪れるようになっています。

観光スポット

平野区には歴史的な建造物や文化財が多く存在します。

杭全神社(くまたじんじゃ)

杭全神社は、862年(貞観4年)に坂上広野の子、坂上当道が創建した神社です。主祭神である素盞鳴尊を祀り、平野郷一円の守護神として信仰を集めてきました。第二殿と第三殿は永正10年(1513年)に造営された記録があり、第一殿と共に重要文化財に指定されています。

境内には樹齢850年以上とされる大楠があり、大阪府の天然記念物に指定されています。また、全国で唯一残る連歌所や、毎年4月に行われる御田植神事、7月の夏祭りでの地車曳行は見どころです。

大念仏寺(だいねんぶつじ)

1127年(大治2年)に聖応大師(良忍上人)によって建立された融通念仏宗の総本山です。本堂は大阪府内最大の木造建築であり、国宝「毛詩鄭箋残巻」や重要文化財「融通念仏勘進帳」が所蔵されています。5月1日から5日まで行われる「万部おねり」は、特に多くの参拝者で賑わいます。

全興寺(ぜんこうじ)

平野区の歴史と深い関わりを持つ全興寺は、薬師如来を本尊とする寺院です。聖徳太子作と伝わる薬師如来像や、「地獄堂」や「駄菓子屋さん博物館」などユニークな施設もあり、多くの観光客を引きつけています。

長寶寺(ちょうほうじ)

平安時代初めに創建された坂上家の氏寺であり、高野山真言宗に属する寺院です。鎌倉時代の銅鐘が重要文化財に指定されており、毎年5月18日には閻魔像の「宝印」が公開される特別な行事が行われます。

赤留比売命神社(あかるひめのみことじんじゃ)

新羅から渡来した女神を祀るこの神社は、応永年間に行われた法華経の読誦が由来で「三十歩神社」とも呼ばれています。古代から信仰を集める神社として親しまれています。

交通

鉄道

平野区内には西日本旅客鉄道(JR西日本)の関西本線(大和路線)、および大阪市高速電気軌道 (Osaka Metro) 谷町線が通っています。これにより、区内外への移動が非常に便利です。特に平野駅は区役所の最寄り駅で、多くの利用者がいます。

バス

大阪シティバスが区内を運行しており、出戸バスターミナルなどから市内各所へのアクセスが可能です。また、近鉄バスも加美北八丁目と布施駅を結ぶ路線を運行しています。

道路

平野区内には、近畿自動車道や阪神高速14号松原線が通っており、車での移動も便利です。また、国道25号や国道165号、国道309号、国道479号といった主要道路が区内を貫いています。

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平野区
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