建築の特徴
外観デザイン
外観はスパニッシュ様式を基調としつつ、日本建築の要素も取り入れた和洋折衷のデザインが特徴です。 左側の窓周りには青海波の模様や肘木など和風のモチーフが見られます。 また、正面右側の半円形バルコニーと鉄製の手摺も独特の存在感を放っています。
内部構造と設備
敷地は「鰻の寝床」状の形状で、内部には和室が続く間取りが特徴的でした。 当時の最先端技術である全館暖房や水洗式トイレも備え、地下にはボイラーや浄化槽が設置されていました。
設計者と施工者
設計を手掛けたのは岡本工務店所属の山中茂一氏で、アメリカで建築を学んだ経験を持つ人物です。 施工を担当した岡本工務店は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計の建築を多く手掛けたことで知られています。
歴史
児玉竹次郎は1878年(明治11年)、岐阜県で生まれ、12歳で大阪に丁稚奉公に出ました。 その後、1902年に独立し「児玉竹平商店」を創業。ワイシャツやカフスの製造販売で成功を収めました。
戦中・戦後の変遷
戦時中、大阪大空襲で店舗は焼失したものの、鉄筋コンクリート造の本宅は戦火を免れました。 戦後は貸住宅として利用され、1978年に全面改修が行われた後、テナントビルとして新たな役割を担うようになりました。
現在の利用状況
- 4階: 建築工房 匠楽舎
- 3階: 手芸アトリエ、談話室、大正・昭和の家庭用品展示室
- 2階: イタリア資料室、江戸堀コダマビル事務所
- 1階: ブティック「Bon voyage」、室内楽練習室
- 地階: 集会室
見どころ
オープンテラスとステンドグラス
正面のオープンテラスには、イタリア人デザイナー、クラウディオ・サロッキ氏が設計したガラス屋根が設置されています。 1階の窓には当時のステンドグラスが今も現存しており、美しい装飾が目を引きます。
「大正・昭和の家庭用品展示室」
2006年の改修時に開設された展示室では、児玉家の蔵から発掘された貴重な台所用品や生活雑貨が展示されています。 昔ながらの生活の息遣いを感じられるスポットとして人気です。
イタリア資料室
2階には、ビルオーナーが収集したイタリア関連の資料を展示するイタリア資料室があります。 大阪におけるイタリア文化の普及にも貢献しています。
アクセス情報
江戸堀コダマビルは、Osaka Metro四つ橋線「肥後橋駅」から徒歩数分の場所に位置します。 四つ橋筋から西へ少し入った江戸堀北通り沿いにあります。
まとめ
江戸堀コダマビルは、大阪の近代建築史において重要な位置を占める建物です。 和洋折衷の独特なデザインや、歴史的な背景を持つ空間が、訪れる人々を魅了します。 ぜひその歴史と美しさを体感しに訪れてみてはいかがでしょうか。